HOME > 各班の活動報告

本プロジェクトで実施した出版,調査航海,講演,國際交流など,各班の様々な活動についてご紹介いたします。

I黒潮圏資源研究の推進

I-1海底鉱物?エネルギー資源の基礎研究

I-1海洋鉱物?エネルギー資源の基礎研究[2020]

レアメタルを使った新しい分子を創り、その特性を調べる。
-ポリオキソメタレートの化學-

複合領域科學部門 上田忠治

 ポリオキソメタレート(POM)は、レアメタルに指定されているタングステンと硫黃等が酸素 を介して結合した金屬一酸素クラスタです。我々の研究室では、このタングステンの一部を別の遷移金屬に置き換えたPOMの合成に関する研究を長年行ってきました。

 その結果、既報の[SW12O40]2-を出発物質として、弱塩基によって処理することで、タングステンが欠損した[SW11O39]6-を合成し、さらに様々な遷移金屬イオンと反応させることで [SMW11O39]4- (M=Mn, Ni, Cu, Co)が生成することを見出しました(Dalton Transaction, 2020, 49, 2766-2770に掲載され表紙にも採用されました)。これらは、導入された遷移金屬に応じて、様々な化學的性質を示しています。また、POMは、多くの電子を可逆に授受できる性質(酸化還元特性)があります。しかも、還元される程度に応じて、溶液中の水素イオンやリチウムイオンと會合します。  この性質を利用しで燃料電池やリチウムイオン電池の電極材料としての研究も行われています。しかし、水素イオンやリチウムイオンと會合を伴うPOMの酸化還元反応機構の定量的な解析は、ほとんど行われていませんでした。

 この性質を利用しで燃料電池やリチウムイオン電池の電極材料としての研究も行われています。しかし、水素イオンやリチウムイオンと會合を伴うPOMの酸化還元反応機構の定量的な解析は、ほとんど行われていませんでした。

 當研究室では、NMR、ESRおよびサイクリックボルタモグラムのシミュレーションを併用して、POMの酸化還元反応機構の定量的解析を行ってきました。2020年には、リチウムイオンが存在するアセトニトリル中における[XVM11O40]4-(X=P,As; M=Mo, W)のPOMの酸化還元反応機構の定量的解析に成功し、リチウムイオンとの會合定數などを算出することができました(Inorganic Chemistry, 2020, 59, 10522-10531に掲載されCover Articleに採用されました)。これらの値は、POMをリチウムイオン電池の電極材料としての研究において重要な基礎的データとなります。

「土佐沖メタンハイドレートの実用?商用化にむけて」2021年版の提言[2020]

 2015年9月に土佐経済同友會「メタンハイドレート推進委員會」より『土佐沖メタンハイドレートの実用?商用化に向けての提言』を受け、本構想を実現化するために、県內の産官學を中心とした関係機関の連攜により、「土佐沖メタンハイドレート実用?商用化プラットフォーム研究會」は、2018年3月よりスタートしました。昨年には、當會で実用?商用化を実現するために、獨立行政法人石油天然ガス?金屬鉱物資源機構(JOGMEC) が公募をした『國內石油天然ガス基礎調査(基礎物理探査)調査候補地の提案募集』へ産官學が連攜 をし、新規調査候補地として土佐沖で応募しました。

 世界初のメタンハイドレートの実用化を目指し、県內では、地産地消のエネルギー源としての実用?商用化を目指す2021年版の提言について、県內外に周知すべく報道発表を行いました。

 

掲載論文紹介:Global diversity of microbial communities in marine sediment.(浦本豪一郎)[2020]

內容紹介:浦本豪一郎講師を含む研究グループの論文が米國科學アカデミー紀要CIF=9.4 l 2)(令和2年10日20日付け)に掲載されました。本研究では地球規模での海底堆積物中の微生物多様性を世界で初めて調査しました。その結果海底堆積物內の環境は生命維持に必要な エネルギー供給の極めて乏しい環境であるにもかかわらず、そこに生息する微生物の多様性が、エネルギー供給の多い陸上土壌や海洋などと同等であること、地球に存在する全微生物群集において、バクテリア(真正細菌)がアーキア(古細菌)よりも圧倒的に多様であることを初めて示しました。

日本堆積學會論文賞を受賞[2020]

 浦本豪一郎講師が、堆積學の発展に貢獻する研究論文を発表したことを評価され、日本堆積學會論文賞を受賞しました。

 受賞対象の論文は「Significant contribution of subseafloor microparticles to the global manganese budget」(Uramoto et al., 2019, Nature Communications掲載)で、外洋域の深海堆積物中に膨大な鉄マンガン酸化物の微粒子(微小マンガン粒)を発見し(海底下全體で約10の29乗個のオーダー)、その形成モデルを提示し、海底地下の金屬賦存量の認識において、実態が不明だった海底下マンガンについて微粒子狀態で保持されている実態を突き止めました。これらの成果は、堆積學に加え、鉱物學や鉱床學、物質循環等に関わる幅広い分野に大きな影響を與えたものと評価されました。

 

受賞の様子

論文賞賞狀

小河脩平講師が、「令和2年度科學技術分野の文部科學大臣表彰若手科學者賞」を受賞しました![2020]

 小河講師は、觸媒化學を専門とし、化學反応を低溫で進めるための觸媒材料ならびに反応場の開発を行っています。受賞業績となった「新規反応場による低溫での觸媒反応の研究」では、希土類酸化物をベースとした觸媒材料を活用し、新しく開発した反応場(少しだけ電気エネルギーを加える手法)を適用することで、メタンを効率的に水素やプラスチック原料に転換することに成功するなど、海底資源(レアメタル?メタンハイドレート)の利活用にも繋がる成果を挙げています。

若手科學者賞賞狀

若手科學者賞メダル

黒潮圏がほこる謎の溫泉資源を探る[2020]

 地下の水の動きを知ることは鉱物やエネルギーの資源や地震といった地殻変動の理解につながります。四國をはじめとする西南日本の太平洋に面した地域(黒潮圏)が、地下深くから上昇する水の恩恵を受けている場所であることは あまり知られていません。図は、日本の溫泉の分布です。地下の巖石と高溫で反応した結果である溫泉水の湧出は、熱源となるマグマが地殻上部にある火山周辺に多く見られます。一方、火山がなく、溫泉水を作り出す高溫場が地下深くにしかない海溝に近い地域(前弧域)では、東北日本のように溫泉が少ないことが特徴です。しかし、図のように、西南日本の太平洋側(黒潮圏)には溫泉が多い。西尾研究室では、地下深部の水に関して、溫泉水の研究で伝統的に用いられてきた化學ツールに比べて桁違い高感度で新しいツールであるリチウムの同位體指標を軸に用いて、日本の前弧域の溫泉の調査研究を進めています。2020年度から科學研究費の基盤研究(B)としで研究計畫『湧水の多元素同位體から西南日本と東北日本の沈み込みプレートの脫水様式の違いを探る』が開始されました。溫泉というと風呂のイメージが強いですが、溫泉成分が希薄な湧水は、飲用水や農業用水、さらには神社などの信仰に日本人は利用してきており、地球科學?水文學·生命科學?地形學等の理學分野から、農學や人文科學を含めた広い學問分野に新しい『つながり』をもたらす可能性をもっています(西尾嘉朗)。


図:日本溫泉協會出版「溫泉」より大山正雄氏作図に追記。
神奈川県溫泉地學研究所web掲載

[https://www.onken.odawara.kanagawa.jp/hotspring/onsen_kouza/20200511-03.html]

高知県浦ノ內灣における人新世以降の底質環境変化の解析[2020]

 2019年3月に、浦ノ內灣において音波探査による海底地形調査、海洋コアの採取などを學內調査船「ねぷちゅーん」をもちいておこないました。特に、環境汚染の負荷が大きい灣奧の嗚無(おとなし)神社前で採取された海洋コア(4M)には過去數千年の環境史が記録されています。浦ノ內灣における自然環境の歴史から、「人新世(Anthropocene)」とよばれる1800年代の産業革命以降、さらに1950年代以降、人口の増加が著しくなり人間の自然への影響を解明する上で貴重な試料です。

 「人新世」における底質環境の変化から、海洋汚染の実態とその履歴の解明をおこなう必要があります。特に、內灣の汚染物質の環境への負荷とそれらの挙動、生物相の変化を明らかにすることが必要です。現在、海洋コアの物性や重金屬、有機物、貝化石の変遷、環境DNAなどの解析が進行中です。これらの研究は、本學が取り組むSDGs(持続可能な開発目標)の1つである「海の豊かさを守ろう」に関連するプロジェクトの一つです。

寫真1:調査船「ねぷちゅーん」による海底コアの採取の様子

寫真2:浦ノ內灣奧の鳴無神社前で採取された海洋コア(4M)のX-CT畫像。
各セクションの長さは約1メー トル。多くの貝殻片が白く寫っています。

I-1海洋鉱物?エネルギー資源の基礎研究[2019]

種子島沖の泥火山調査-學術研究船「白鳳丸」KH-19-5次航海參加-

 2019年8月9日から20日間,學術研究船「白鳳丸」KH-19-5次航海に理學専攻學生(M2)1名と農林海洋科學部教員2名,4年生3名と共に參加し,種子島沖の海底泥火山調査を行いました。海底泥火山とは,海底深部にあるガスや間隙水を含む半固結堆積物が,高間隙水圧になり上位の地層を巻き込みながら海底に上昇し噴出した地形的高まりのことです。その過程で,メタン等の炭化水素や,間隙水などの物質が地下深部から海底面に移動する地球科學的にも特殊な現象で,メタンハイドレートなどの海底資源の形成に関與しています。

 これまでの調査で,プレート境界域に位置する種子島沖には,泥火山が15個密集しているのが発見されています。今回は,水深1,200mと水深1,400mの2つの泥火山頂上で,海底をカメラで視認しながらピンポイントで試料採取ができるNavigable Sampling System(NSS)を使って(寫真1),海底の観察や海底堆積物の採取(寫真2)を行いました。また,泥火山直上水の採取も行い,その特徴と含まれているガス成分についても研究することにしています。今後,これらの堆積物試料から,物性や年代および起源や熱履歴,さらには含まれる微生物の種類と役割などについても解析していきます。

浦本特任助教が,令和元年度高知大學研究顕彰制度
「若手教員研究優秀賞」に選ばれました!

 浦本特任助教は,地質學の研究を専門としながら,微生物學や土壌學など異分野融合の手法にて研究を行っています。主な研究業績として,南太平洋環流域の外洋深海底堆積物から,直徑數ミクロンの鉄マンガン酸化物微粒子が,堆積物1ccあたり1億~10億個存在することを世界で初めて発見し,こうした微粒子が膨大な金屬を微粒子狀形態で深海底地下に保持することを突き止めたことが挙げられます。

 また,令和元年度に科學技術振興機構(JST)さくらサイエンスプラン採択事業で海洋コア総合研究センター初の「國際コアスクール」開催に事業実施擔當者として盡力し,センターの推進する海洋科學掘削分野の國際的な活性化に貢獻しました。

ホームページのURL:http://www.a2zonlinedirectory.com/information/2020021000016/[高知大學HPより引用]

寫真1:學術研究船「白鳳丸」KH-17-3次航海で用いられたNavigable Smpling System (NSS)

寫真2:種子島沖の海底泥火山上で採取された堆積物試料(CT畫像)角礫を多く含み、ガスが発砲した痕跡が殘る特殊な堆積物

海洋コア総合研究センター
浦本豪一郎 特任助教

「4次元統合黒潮圏資源學の創成」特別講演會[2019]
 「海洋鉱物資源開発の最新動向」

獨立行政法人 石油天然ガス?金屬鉱物資源機構金屬資源技術部海洋資源技術課擔當調査役 山路 法宏氏

 2020年2月21日午前10時30分より物部キャンパス5-3教室にて,獨立行政法人石油天然ガス?金屬鉱物資源機構(JOGMEC)の山路法宏氏による特別講演會「海洋鉱物資源開発の最新動向」が行われました(參加者32名)。陸上鉱山開発と海洋鉱物資源開発との違いや國際動向および日本の政策に始まり,日本の海底熱水鉱床開発の詳細(資源量評価,採鉱?揚鉱技術,選鉱?製錬技術,環境影響評価,経済性検討)についての最新の成果と今後の展望について分かりやすく説明して頂きました。講演後は,會場から多くの質疑があり,活発な議論が行われました。

山路氏(JOGMEC)による特別講演會の様子

海洋コア総合研究センターにおいて初めての國際コアスクール開催[2019]

 海洋コア総合研究センターは,科學技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプランの支援を受けて,韓國(4名)?中國(3名)?臺灣(2名)の大學院生やポスドクを招へいし,2019年11月13日~20日に,海底から掘削された柱狀試料 (コア)の分析や試料保管に関する講義や技術指導を行う研修プログラム「國際コアスクール」を初めて開催しました。

 本スクールでは,まず,海底掘削の國際プロジェクト(國際深海科學掘削計畫,IODP)の枠組みと海底掘削船で行われるコア解析の概要について,研究者や技術職員が紹介しました。その後,高知県沖の水深約1,000mの海底から掘削されたコア試料について,參加者自身で國際プロジェクトの掘削船上と同様のコア観察や専門的な試料分析を行いました。専門分野の分析では,コアに含まれる化石の安定同位體分析や,コアの物理的性質の計測や磁気分析を行いました。最後に各実習で得られた結果を発表し,過去の気候変動や海洋環境の変化と地層形成の関係を活発に議論し,盛會のうちにプログラムを終了しました。

スクール終了後の集合寫真

西井文部科學省學術機関課長一行が海洋コア総合研究センターを視察[2019]

 2019年10月4日,西井知紀文部科學省研究振興局學術機関課長,吉居真吾同課課長補佐,泉正年同課係員が本學の海洋コア総合研究センターを視察され,その一環として,レアアース泥として注目される海底堆積物を間近に,本プロジェクトの取り組み狀況や研究成果事例(Uramoto, et al., 2019, Nature communications, 10(1):400)が紹介され,活発な質疑応答がなされました。

コア試料を観察する様子
海底鉱物資源として注目されるマンガン酸化物の微小粒子を大量に含む

地磁気シールド室では方位磁石が使えないことを體験
地球磁場を遮り古地磁気を測定,年代等推定する

臼井朗特任教授が“マンガン団塊”の分野における過去の発表論文數ランキングの6位![2019]

 我が國は,北太平洋に広大なマンガン団塊およびコバルトリッチクラストの専有探査鉱區を保有し,資源探査や國際技術者研修を実施しています。高知大學は,現在これらの事業に協力し,現地調査や研究,教育の面で貢獻しています。國際海底機構(ISA)の事務局長は「SDGsを目指した海洋資源開発を実現する鍵は海洋科學研究である」との談話を発表し(2019年5月),科學研究の重要性を訴えています。先日,ISAのホームページの一部Bibliographic Database(研究論文データベース)が更新されました。

 その中で,高知大學の海底鉱物資源に関わる研究論文(第1版:マンガン団塊)著作者分析の項目において,海洋コア総合研究センターの臼井朗特任教授がmost prolific authors(論文數)ランキングで世界6位に位置づけられました。高知大學での海底鉱物資源(マンガン団塊やクラスト)に関する研究の意義が認められたことになります。今後,さらに成果の社會への貢獻が期待されています。ホームページのURLhttps://www.isa.org.jm/bibliographic-database[高知大學HPより引用]

マンガンクラストの潛航調査のため,しんかい6500に乗り込む臼井特任教授

レアメタルを使って新しい機能性分子を創る[2019]

新規金屬置換ポリオキソメタレート錯體の反応経路

I-1海洋鉱物?エネルギー資源の基礎研究[2018]

外洋深海底堆積物から大量の金屬鉱物微粒子
「微小マンガン粒」を発見

 浦本豪一郎特任助教(海洋コア総合研究センター)は、國立研究開発法人海洋研究開発機構などと共同で南太平洋の外洋深海底堆積物を広域的に調査?分析した結果、直徑數ミクロンの鉄マンガン酸化物微粒子「微小マンガン粒」が、堆積物1ccあたり1億~10億個存在することを世界で初めて発見しました。微小マンガン粒は既知の海底マンガン団塊やマンガンクラストと同様にレアメタルやレアアースを含むと共に、地球全體で1.28~7.62Tt分に相當するマンガンを含むことが世界で初めて推定されました。これは、マンガン団塊やマンガンクラストに含まれるマンガンの100倍以上が、海底地下に微粒子の形で埋沒することを示します。海洋におけるマンガン賦存量の認識を大きく押し上げるもので、Nature Communicationsに成果が掲載されました。また、農林海洋科學部1期生が初めて參加した日本近海の海底鉱物資源探査航海で得られた海底堆積物からも微小マンガン粒が発見されており、今後、微粒子解析に基づく新たな海底鉱物資源研究の展開が期待されます。本成果は、文部科學省でプレスリリースを行い、11件のテレビ報道?新聞記事掲載されるなど、大々的に報じられました。

高知県沖の寶石珊瑚に関する地球化學的研究

 高知県は日本で初めて寶石珊瑚漁が行われた場所であるとともに、現在でも寶石珊瑚漁?取引?加工業の國內の一大拠點です。寶石珊瑚は、比較的淺いところに生息する造礁珊瑚とは異なり、水深約100m以深で生息していることから、その生態や分布、資源量等に関する科學的研究はまだまだ進んでいません。高知大學海洋コア総合研究センターでは、NPO法人寶石珊瑚保護育成協議會と日本珊瑚商工共同組合の協力の下、高知県沖の寶石珊瑚に関する地球化學的研究を進めています。

 寶石珊瑚は、生きたまま漁獲される「生木」と、死後の骨格が殘って化石狀態で漁獲される「枯木」に大きく二分され、そのうち枯木は取引量の約8割を占めます。

 高知県足摺沖の漁場から採集された寶石珊瑚の枯木を対象として、放射性炭素年代測定を行ったところ、一番古いものは紀元前約5600年前に死亡したものであることが分かりました。また、測定した枯木の多くは、漁業活動が始まった明治初 年(1871年)よりも古い時代に死亡していることが分かり、漁業活動による人為的要因で死滅したのではなく、壽命や捕食?環境変動といった自然要因で死滅したと考えられます。この結果は、枯木の寶石珊瑚を化石資源として扱う必要性を提起するとともに、漁獲管理や資源量把握のために必要な科學的データとなると期待されます。この研究成果は、2018年6月28日に行われた寶石珊瑚國際フォーラム2018で発表するとともに、高知新聞、日本経済新聞に取り上げられました。

「微小マンガン粒」の電子顕微鏡寫真
直徑は、數ミクロン

紀元前5600年前に死亡した枯木寶石珊瑚

高知大學海洋コア総合研究センター設立15周年記念公開シンポジウム
「地球を掘ってわかること~古地震、気候変動、地球の姿~」[2018]

 高知市內の図書館等複合施設「オーテピア」において、高知大學海洋コア総合研究センター設立15周年記念公開シンポジウムが、本プロジェクト共催のもと開催されました。平成30年11月30日(金)午後~12月1日(土)午前にかけ、地球掘削科學共同利用共同研究拠點の成果が口頭?ポスターで発表されるとともに、今後の展望について公開討論を行いました。

潛水調査船による福島沖のマンガンクラスト調査(YK18-E02C航海)[2018]

 2018年10月に福島沖の海山において、JAMSTECと高知大學等は、次世代海底鉱物資源の一つである、マンガンクラストが、我が國EEZのいわき海山に広い水深帯(1800-5500m)にわたって、広く分布していることを確認しました。しんかい6500により、現場の條件や産狀が明確なサンプルが大量に採取され、現在、6機関が協力?連攜しつつ、その成因を探る研究が進行中です。高知大學はその中心となって、分布狀況や組成変動と生成環境の解明をめざした研究をリードしています。〈JAMSTEC提供〉

I-1海洋鉱物?エネルギー資源の基礎研究[2017]

 コバルトリッチクラストやマンガン団塊の調在?研究航海を実施!

●かいれいKR17-07C研究航海では、本州から約350km沖に位置する拓洋第3海山(巨大平頂海山)の斜面から有用な資源として注目されるコバルトリッチクラストが採取されました(図1)。これらは、內閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計畫)」の一環として実施されたものです。本學から教員2名、學生3名が參加し(図2)、採取された試料の産狀、形成や成長プロセスなどの成因解明の研究がおこなわれています。

●白鳳丸KH-17-03次研究航海では、バンクーバー沖の海底調在が実施され、形成初期のマンガン団塊が多數採取されました。本學から教員1名、學生1名が參加し、マンガン団塊の物性や化學分析、および、周囲に存在する海水や堆積物などの環境情報とあわせて、形成メカニズムの総合研究が開始されました。

レアアース資源として注目されるレアアース泥の研究成果!
 レアアース泥中の間隙水に関する成果が「Geochemical Journal」に掲載予定です。

進展する地殻流體研究!
 2016年鳥取地震前の地下水の地球化學異常に関する論文が「Scientific Reports」に掲載予定です。これまでに得られた研究成果をもとに、日本學術會議主催の地球惑星科學分野大型研究計畫ヒアリング(マスタープラン)に『地殻深部流體科學』の提案者の1人として 參加します。

レアメタルの利活用を目指す!
 様々な希土類金屬を導人した無機高分子化合物である新規ポリオキソメタレー ト錯體の新規合成に成功し、多 くの學會でその成果が発表されました。また、酸性アセトニトリル中における電気化學的酸化還元反応機構の定量的解明にも成功し、「Inorganic Chemistry」にその成果が掲載されました。

海に関する特別講演!(図3)
 科學の目から見た「海と私たちの暮らし」について、高知南高校において講演しました。

図1: 拓洋第3海山から採取されたコバルトリッチクラスト(厚さ約13cm)

図2:かいれいKR17-07C研究航海の乗船メンバー

図3:高知南高校で海についての特別講演をおこなう臼井教授

研究の最先端で學ぶ[2017]

 地殻流體研究室では高知大學の4年生が卒業研究として斷層湧水の同位體測定に取り組みました。(寫真1)は、斷層湧水から同位體分析の対象元素を分離精製した後に、質量分析の前準備を行っている様子です。若くて溫かいスラブが沈み込むことで他よりのスラブからの脫水が起こりやすい特異な西南日本域の地下水へのスラブ起源流體の寄與が見えてきました。得られた結果は、卒業研究発表にとどまらず、研究會でも発表しました(寫真2)。

寫真1

寫真2

共同研究により「北西太平洋域の海底鉱物資源図」を刊行[2017]

 日本列島周辺は、プレートの作用に伴って、活発な地質活動が起きています。地震、火山噴火などの災害を引き起こす一方、地質時代から、多様な 金屬鉱物資源を生み出し続けていることが特徴です。周辺の海底には、陸上の金屬鉱床と同等あるいは上まわる鉱物資源が分布しています。なかでも1)海底熱水鉱床(硫化物に伴う金銀銅鉱床)、2)マンガンクラスト鉱床(酸化物に伴うレアメタル鉱床)が注目されており、我が國は、両者が近接して分布する非常に有利な位置にあります。しかし広大な地域の資源分布の全容は依然として曖昧です。

 高知大學では、海洋コア総合研究センターを中心に、金屬鉱物資源の成因にかかわる內閣府のプロジェクトや科學研究費研究課題、民間會社等との共同研究などを通じて、資源分布、成因に関わる地球科學的研究を続けています。 平成29年度には、産総研との共同研究に基づいて、金屬資源分布図を作成、出版しました。北西太平洋域の広域的分布の全體像を知ることが出來る重要な図が完成しました。

北太平洋域における海底資源調査
コディアック(米)?バンクーバー(加)[2017]

 2017年7月から學術研究船「白鳳丸」KH-17-3次航海に理學部學生1名と參加し、北太平洋域の海底資源調査をおこないました。北東太平洋域でのマンガン団塊の発見やアラスカ灣における海底堆積物や海水の採取など大きな成果がありました。特に、水深3600mの海山上では形成初期と考えられるマンガン団塊(大きさ數cm)が數多く発見されました。100萬年で數ミリしか成長しない「化學堆積巖」と呼ばれるマンガン団塊の形成メカニズムを解明する上で貴重な試料です。

 また、アラスカ灣では水深ごとの約10mの海底堆積物の採取に成功しました。近年の地球溫暖化によって、最も早い速度で消失しているアラスカ山岳氷河の淡水の影響により,海水表面の塩分低下が、アラスカ灣だけでなくベーリング海峽にまで及んでいます。このようなアラスカ山岳氷河からの淡水供給が、海洋にどのような影響を與えるのか? 氷期—間氷期を繰り返してきた過去にも同様な現象が起こっており、海洋表層の塩分の復元から氷河融解量の推定と水塊の鉛直構造の復元、あるいは、バクテリアや植物プランクトンの種構成の変化、魚類相の応答などを解析することにしています。

學術研究船「白鳳丸」KH-17-3次航海の航路図

アラスカ灣で採取した約10mの海洋コア

アラスカ灣にてアラスカ山岳氷河を望む

Techno-Ocean 2016 Student Poster Competition受賞[2016]

 Techno-Ocean 2016 Student Poster Competitionにおいて,指導學生(清野雄太:早稲田大學理工學術院大學院生)が,「Imaging hydrothermal mineral deposits area by reflection seismic processing using Vertical Cable Seismic and Ocean Based Sound Source」の題目で受賞しました。


KR16-13航海[2016]

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船「かいれい」による戦略的イノベーション創造プログラムにおける調査航海を行ないました。


菱刈鉱山の視察[2016]

 鹿児島県北部で日本國內唯一、金の商業的採掘を行なっている菱刈金鉱山を視察しました。この鉱山は、約100萬年前に形成された地質學的には非常に新しい鉱床です。プレート運動による地殻の割目からマグマが上昇する過程において、地表へ地下水やマグマ熱水が供給され、ここで様々な溶存物質が冷え固まったため「淺熱水性鉱脈型金銀鉱床」と呼ばれます。金の含有率は世界平均の約10倍、65℃の溫泉水を伴うことなども特長です。環境保全や地域との共存共栄なども含めて、學ぶべきことの多い視察となりました。

鉱山に入り,地下深部の坑道內で鉱脈や抜湯室を視察するメンバー

高知大學に寄贈された金鉱石
(海洋コア総合研究センターエントランスに展示)

高知學術出版賞の受賞[2016]

 高知大學での10年以上にわたる研究成果をまとめた「海底マンガン鉱床の地球科學」(臼井朗ほか、東京大學出版會)が、高知市文化振興事業団から「平成27年度のもっとも優れた學術出版」として表彰されました。本書は、筆者ら自身の現場調査や研究成果にもとづいて3年以上かけて完成したもので、近年話題となっている海底レアメタル資源の実像を冷靜に描き、その地球科學的意義と面白さが強調されています。同事業団の広報誌「文化高知」や「高知新聞」では、簡潔な文章と科學的ロマンを感じさせる良書と評価されました。


注目されるリチウム同位體を用いた深部流體研究の招待講演の実施[2016]

 2016年5月には地球內部の流體に関する學會のセッション、2016年9月には海洋に関する學會のセッションで招待講演を行ないました。2015年には鉱物資源のセッションでの招待講演をおこなっており、様々な分野において、リチウム同位體指標を用いた深部流體研究が注目されています。

同位體分析前からリチウムを分離精製中のクリーンルームの風景

「海底マンガン鉱床の起源環境」の企畫?発表[2016]

 幕張メッセ(千葉市)で開催された地球惑星科學連合大會において,「海底マンガン鉱床の起源環境」セッションのコンビナー筆頭者として1件,共著者として5件発表しました(11件中)。


I-1海洋鉱物?エネルギー資源の基礎研究
深海底に眠る鉱物資源?エネルギー資源の成因や実態解明にせまる![2016]

 我が國は、海洋に関して世界第6位の排他的経済水域を有します。海洋の持つ資源は膨大で大きな魅力がありますが、その広大さとアクセスの困難さ、複雑さゆえ、海洋に関する科學的知見が未だに不足しており、今なお人類に殘されたフロンティアであるといわれています。平成25年には、海洋基本法に基づく「海洋基本計畫」が改訂され、海洋技術開発に関する5つの研究課題の1つに、「海洋エネルギー?鉱物資源の開発」が挙げられており、これらの研究開発を重點的に推進することが明記されています。このような社會的背景のもと、我が大學では、2016度の農林海洋科學部の発足に合わせ、海の資源に特化した「海洋資源科學科」を設置し、そのコースの一つとして「海底資源環境學コース」を設置しました。本コースでは、海底鉱物資源研究に特化した教育?研究を推進し、國際的に通用する海洋人材の育成に著手しました。

 我々のグループでは、高知県の目の前に広がる黒潮域を含めた太平洋の海底に眠る鉱物資源やエネルギー資源を研究対象としています。これらの資源は、地質學的な長い時間スケールで形成されてきたことはわかっています。海底鉱物資源とは、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥などがあげられますが、それらの分布や成因や実態解明にむけて、その謎を解き明かします。 加えて、これらの海底鉱物資源の利活用を目指した新材料の開発も行っていきます。さらに、開発?利用に向けて関係機関と連攜していきます。また、海底エネルギーとしては、高知県の沖合に広がるメタンハイドレートが注目を浴びています。このような研究開発を進めるに當たって、多分野との連攜協力や國際協働を図っていく必要があり、學內の様々な組織とも共同で研究を推進します。

三次元的に示した海山の様子マンガンクラストが被覆する巨大平頂海山

深海底のマンガン団塊密集地域から採取された試料

巖盤を被覆するマンガンクラストの切斷面

マンガン団塊斷面のX線分析による元素マッピング(左上から時計回りにMg,Mn,Cu,Fe)

I-2海洋生物資源に関する基礎研究

I-2 海洋生物資源に関する基礎研究[2020]

海底堆積物コアが語る新種赤潮プランクトンの履歴
高橋迪子?高野義人?村山雅史?新井和乃?田中幸記?増田雄一(高知大學)?和田啓(宮崎大學)?外丸裕司(水研機構)?松野恭平 (JSM) ? 長崎慶三(高知大學)

 1988年夏、高知県浦ノ內灣で赤潮が発生し、大量のアサリがへい死しました。検鏡の結果、かつて見たこともない奇妙な遊泳運動をする紡錘形のプランクトンが試水中から発見されました。これが、ヘテロカプサ?サーキュラリスカーマと呼ばれる赤潮原因渦鞭毛藻です。調査の結果、本種は魚類には毒性を示さないが、アサリ、カキ、アコヤガイといった二枚貝類を特異的にへい死させるということが明らかとなりました。

 本種の有害性に鑑み、當初、赤潮対策の一環として本種を宿主とするウイルスの探索が行われました。その結果、本種に感染する小型1本鎖DNAウイルス (HcRNAV)が発見されました。宿主であるヘテロカプサの増殖に伴いHcRNAV密度は増加し、赤潮の衰退後に減少するというサイクルが明らかとなり、両者間の密接な生態學的関係性が示唆されました。しかし依然として、そもそもの謎は殘されたままでした。「なぜ突如として浦ノ內灣で本種の赤潮が発生したのか?」

 我々は浦ノ內灣の海底に堆積している泥に注目しました。一般に、內灣域においては年間0.6~1 cmの堆積物が海底に降り積もるといわれています。浦ノ內灣は、灣口が淺く狹い、また大型流入河川もないきわめて閉鎖的で外洋との海水交換の少ない灣であることから降り積もった堆積物は年代順に層を成しており、そこに過去の環境履歴が蓄積されている可能性が高いと考えました。

 まず、海底堆積物コア各層ごとの年代を推定し、並行して各層のHcRNAVの分布狀況を調べました。その結果、ヘテロカプサに感染するこのウイルスは、ヘテロカプサ赤潮が初めて起きた1988年よりもはるか以前(少なくとも 1920年代)から同灣內に存在していた可能性が高いと考えられました(図)。また、HcRNAVが増加した時期は、浦ノ內灣での養殖が拡大した時期ならびにヘテロカプサの赤潮が発生した時期とほぼ一致しました。

 すなわちHcRNAVの宿主である赤潮藻ヘテロカプサは、 1900年代はじめから浦ノ內灣に生息しており、養殖の振興に伴う環境変化により徐々にその個體群を拡大していった可能性が高いと思われます。1988年の赤潮のトリガーは不明ですが、その後も浦ノ內灣ではしばしば本種による赤潮が起きていることを考えれば、個體群サイズとしてはいつでも十分に赤潮を引き起こせるだけのポテンシャルを有していたのでしょう。

 本研究の結果から、堆積物中の層ごとの年代測定および標的ウイルスの探索を行うことで、さまざまな過去の生物現象の推定技術となりうることが示されました。この手法は、今後、感染癥の発生履歴等を検証する際にも同手法が役立つ可能性が考えられます。

海底堆積物コア各層の推定年代(右)とHcRNAV由來の配列數(棒グラフ)

ヘドロでエビ養殖!~食物連鎖で“厄介者”を“資源”に~[2020]

 東南アジアのエビ養殖は、たいてい過密養殖な上に人工配合飼料(ペレット)を大量に與えて速やかな成長を期待するものです(これを‘‘ ブロイラーエビ’'と呼ぶことにします)。このため近年では養殖池底泥の環境悪化が著しく、疾病の発生による大量斃死が起こるなど、大きな問題となっています。そこで本研究では、エビ養殖池に自然発生する赤蟲(ユスリカ幼生)やボウフラ(蚊の幼生)およびGutweed と呼ばれるアオサ類緑藻を代替飼料としてうまく利用し、ペレットの給餌量削減と環境保全を両立させることを目指しました。

 研究の結果、エビは赤蟲を速やかに取り込み、極めて速やかに消化されることが明らかになりました。またエビの成長も生殘率も、ペレットと全く遜色ないことも分かりました。ボウフラは赤蟲よりは悪いものの、無給餌の時よりははるかによく成長すること、またGutweed表面は赤蟲の生息場所となり、成長を助けることも分かりました。赤蟲やボウフラは養殖池底泥の有機堆積物を餌として利用しています。またGutweedは養殖池の栄養塩を利用して成長しています。このことから、昆蟲幼生をエビ養殖の代替餌料として利用する事で、ペレットの給餌量が削減可能であるのみならず、養殖池に長年蓄積された、エビ養殖の殘餌や糞による底泥有機物(ヘドロ)や無機栄養塩を、赤蟲やボウフラおよびGutweedを経由した食物連鎖を利用して消費し、再びエビのバイオマスに転換(これを‘‘放し飼い地鶏エビ’'と呼ぶことにします)できることが明らかとなりました。

図:エビ養殖の殘餌や糞により養殖池に長年堆積している底泥有機物(ヘドロ)を、昆蟲幼生や海藻類を経由した食物連鎖を利用し、再びエビのバイオマスに転換する養殖の考え方。

掲載論文:Effects of the monomeric components of poly-hydroxybutyrate-co-hydroxy hexanoate on the growth of Vibrio penaeicida in vitro and on the survival of infected kuruma shrimp (Marsupenaeus japonicus)[2020](深見公雄)

內容紹介:石油系プラスチックの流出による海洋環境汚染が問題となっており、自然界で分解される生物系プラスチック(生分解性ポリマー)の開発が、現在、世界中で行われています。PHBHもその一つです。本研究は、さらに先を見據えた、PHBH の樹脂以外の用途について検討しました。短鎖の脂肪酸や水酸化脂肪酸が制菌性を持つことに著目し、PHBHを構成する 3HBおよび3HHという2種類のβ-hydroxyalkanoateが、クルマエビの疾病原因となるVibrio penaeicidaへの感染予防効果を示すかどうかを検証しました。その結果、3HHがV. penaeicidaの増殖を著しく阻害することを世界で初めて明らかにしました。またPHBHを餌料に5%程度添加してクルマエビを飼育したところ、V. penaeicidaに感染したエビの死滅率が有意に低下しました。これらのことから、餌に含まれたPHBHがエビ腸管內で3HBと3HHに分解され、それがV. penaeicidaを阻害したために、エビの生殘率が上昇したものと推察されました。PHBHといえども樹脂として利用する限り廃棄物を生み出すが、 本研究結果は、‘"破棄物"を"生物資源"’へ転換するという意味で、4次元資源學の趣旨に合致するものと考えられます。

 

渦鞭毛藻由來、最強抗腫瘍性物質の構造を解明[2020]

 アンフィジニウ兇屬の海洋性渦鞭毛藻からこれまでに、多くの培養がん細胞に対して細胞毒性を示す二次代謝産物が発見されており、その特徴的な化學構造と強い活性から、國內外の有機合成化學者や薬理學研究者らの注目を集めてきました。その中でアンフィジノリドN(またはカリベノリド—I)は、nMを下回る低濃度で50%細胞増殖阻害 (lC50)を示す、アンフィジニウム屬渦鞭毛藻由來の二次代謝産物では最強の細胞毒性物質です。これまで構造解析や合成研究をなどによる構造解析研究が行われてきたが、その化學構造は明らかにされていません。我々は、アンフィジノリドNの塩素付加體と類似した関連新規化合物(イソカリベノリド—l)と単離し、定量的な空間距離解析を駆使してそれらの化學構造を推定しました。あわせてこれまで未決定であったアンフィジノ リドNの化學構造も推定できました。本研究は日本薬學會英語誌(Chem. Pharm. Bull)の2021年1月號に掲載されました。

掲載論文:Chronological distribution of dinoflagellate-infecting RNA virus in marine sediment core.[2020]

內容紹介:高知県浦ノ內灣から採取した海底堆積物コアを層ことに切り分け、各年代層に含まれる赤潮プランクトン感染性ウイルスを調べました。その結果、同灣で1988年に初めて赤潮を起こした渦鞭毛藻ヘテロカ プサ?サーキュラリスカーマが、少なくとも1920 年代には存在していたことが明らかとなりました。こうした環境遡及的解析は、過去の生物環境を知るうえできわめて有用な戦略であることが示されました。

渦鞭毛藻
ヘテロカプサ? サーキュラリスカーマ

渦鞭毛藻
ヘテロカプサ? サーキュラリスカーマに 感染するウイルスHcRNAV

掲載論文:Drinking Refined Deep-Sea Water Improves the Gut Ecosystem with Beneficial Effects on Intestinal Health in Humans: A Randomized Double-Blind Controlled Trial.[2020]

內容紹介:産官學民連攜プロジェクトとして、海洋深層水の健康への利活用を目的に、調整海洋深層水飲料(硬度 1000)と市販ミネラル天然水飲料の2群で飲用試験(1L/1日、12週間)を実施しました。飲用前後で各種項目を比較解析しました。本臨床試験で得た深層水飲料の生體効果は以下です。1)便秘癥の改善効果。2)便中短鎖脂肪酸量の増加、特に酢酸の増加が顕著。腐敗産物とslgAは減少。3)短鎖脂肪酸量が増加した人數(効果割合)は全9種類で深層水飲料群が高値(効果に性差もあり)。4)全3種類の尿中イソフラボン類も深層水飲料群で増加。5)深層水飲料は酢酸と吉草酸に特に影響。以上より、調整海洋深層水飲料は腸內環境の改善効果を有し健康維持増進に有益であると報告しました。

深海底堆積物から微生物の単離研究[2020]

 サリニスポラ屬の細菌は、主に淺い熱帯および亜熱帯の海洋生息地から報告され、有用な生理活性物質を生産する微生物です。本研究では、白鳳丸KHl 6-6航海に採取された四國盆地の深海底の堆積物から新奇Salinispora sp. H7-4株の単離に成功しました。さらに、ゲノム解析を行い、この株は様々な生理活性物質の生産に必要な遺伝子を持つことを明らかにしました。この成果は、四國盆地の深海堆積物から初めての報告であり、創薬シード化合物の探索に応用することが期待されます。本研究は、Microbiology Resource Announcements (American Society for Microbiology)に掲載されました。

寫真:Salinispora株の個體培養

I-2 海洋生物資源に関する基礎研究[2019]

未利用生物資源からの有用化學資源の探索と開発

 この研究は,未利用生物資源から有用化學物質を発見し,それらを醫薬品の開発のシードとして役立てることを目的とした研究を展開するものです。生物資源としては渦鞭毛藻,特にアンフィジニウム(Amphidinium)屬渦鞭毛藻が産生する二次代謝産物の探索研究を展開し本プロジェクトの開始時から數種の新代謝産物を見出してきました。

 西表島産のアンフィジニウム屬海洋渦鞭毛藻KCA09053株より,2種の培養腫瘍細胞に対して細胞増殖阻害活性を示すマクロリド化合物イリオモテオリド-10aと12aを,同じくKCA09052株より同様の活性を示す新規マクロリド化合物イリオモテオリド-9aと11aを単離し,それらの化學構造を明らかにしてきました。さらに,培養腫瘍細胞に対してより強力な殺細胞活性を示す化合物が発見されており,それらの學術論文の投稿の準備を行っています。

 2018年より新たな醫薬探索の生物資源として,日本近海に棲息するイモガイ類を取り上げ,それらの産生するペプチド毒を新たな醫薬資源開発を目指す研究に著手しました。高知県柏島と沖ノ島にてイモガイ類の資源調査を実施しました。特に沖ノ島で採取したロウソクガイ(Conus quercinus)の毒腺について分析を進めており,TOFMS分析からは,粗ペプチド畫分には分子量500~5,000の領域に50種ほどのペプチドピークが観測されることがわかりました。今後は,イモガイの毒ペプチドを混合物のまま二次構造解析をすすめるとともに,これらのペプチド畫分の活性スクリーニングを指標として新たな醫薬品リードの探索研究を行って行く予定です。

室戸海洋深層水を使った渦鞭毛藻の50L培養

マクロリド化合物の構造解析に使用する核磁気共鳴裝置

ロウソクガイの寫真

ロウソクガイの毒腺

殺細胞活性物質の核磁気共鳴スペクトル

高校生2萬8千人のライブイベントで本プロジェクトの成果を紹介[2019]

 全國の高校生に各研究機関での活動を知ってもらうためのビッグイベント「夢ナビライブ2019 OSAKA( 2019年7月24日インテックス大阪?參加者數2萬8千人)」において,『海洋の悪いウイルス?良いウイルス』という演題でライブトークを行いました。その後の個別講演や質問ブースに來てくれた高校生には,本プロジェクトの成果である海のウイルス世界の探索について詳しく紹介することができました。炎天下の會場は高校生たちの熱気で溢れ,大変エキサイティングな一日となりました。動畫はこちらからご覧いただけます。

夢ナビライブ會場での発表風景(演者:長﨑慶三教授)

海洋資源の健康への利活用と生體効果の検証[2019]

 海洋深層水ベース飲料水(硬度88)による生體効果を臨床試験にて検証しました。現在はその結果を解析中です。途中経過ですが,便中の主要3有機酸の産生亢進効果や尿中にイソフラボン類の1つエクオールの増加を認めており,今後詳細にまとめたいと考えています。また,室戸海洋深層水から精製した純度100%のにがり添加豆腐に腸內環境改善効果がある可能性を見出し,特許を取得しました(腸內フローラ改善健康食品:特許第6486529號)。ピロリ菌関連研究について日本ヘリコバクター學會において學術賞(基礎)を賜りました。ご協力を頂いた関係諸氏に心より御禮を申し上げます。

第25回日本ヘリコバクター學會での學術賞受賞式

自然発生する昆蟲幼生や大型海藻を利用した環境配慮型エビ養殖に関する研究[2019]

タイのエビ養殖池
底泥には多數のユスリカ幼生(赤蟲:右上)が自然発生している

I-2 海洋生物資源に関する基礎研究[2018]

課題:海洋深層水資源の健康への 利活用と挑戦

 四國南部に位置する高知県は、陸上資源のみならず、その豊かな「海洋資源」に古くから注目してきました。具體的には、科學技術庁「アクアマリン計畫」の一環としての全國でも初となる陸上海洋深層水取水施設の設置(1986年)から、現在に至るまで、県內産業の振興と活性化を目的として、多方面でその利活用への取り組みがなされています。

 本課題では、海洋資源の一つに位置づけられる「海洋深層水」を巡る網羅的かつ多次元的な研究を継続し、その研究成果を著実に集積しつつあります。その一つの代表的事例が、海洋深層水資源の健康への利活用を目的とした生體効果の検証試験です。市民の皆様のご協力のもとに集めたデータの解析結果から、海洋深層水飲料(硬度1000)が、腸內環境の改善を顕著に促す効果を持つという可能性が明らかとなってきました。本試験結果はテレビ?新聞でも取り上げられました。

 これは、すでに報告されている飲用物を介した様々な癥狀改善効果の機序を説明するうえで、重要な醫科學的知見を提示するものと考えられます。また、この発見は、健康壽命の延伸という國民の希望に応えるのみならず、少子高齢化に伴い増加する醫療費の抑制にも大いに貢獻すると期待されます。

 2000年代以降、國は、「健康増進法」の下に「健康プロジェクト」を掲げ、ヘルスプロモーション(予防?未病の推進)を積極的に推進してきました。その中では、とくに栄養?食生活などの改善が基本的な方針として示されています。本プロジェクトで得られた上述の成果(海洋深層水飲料の飲用効果)は、國家施策とも相まって、國民の健康維持増進や病気の予防に大きく貢獻できるものと信じております。今後は、硬度の異なる海洋深層水飲料の生體効果の検証、ならびに高知県発の海洋深層水ベース製品の機能性のさらなる解明に努め、海洋資源から、個人のニーズに適した安心?安全で信頼できる商品を創出することに挑戦したいと考えています。本課題から國民の健康に資することのできる具體的な成果を発出すべく、引き続き課題の進捗を図っていく所存です。

室戸調整海洋深層水飲料の生體効果を検証(臨床試験)[2018]

 約3年間の臨床試験を経て調整海洋深層水飲料(硬度1000)の飲用による生體効果を検証しました。その結果、腸內環境を改善する効果があることが明らかとなりました。種々ある評価項目の解析結果を俯瞰し総合的に判斷しますと、便秘癥の改善、腸內で代謝産生される短鎖脂肪酸量およびイソフラボン類量の増加が注目されます。それら腸內環境の変化(改善)は生體の健康維持?増進に重要で健康壽命の延伸にも期待が持てます。解析結果の詳細は以下の拙論等をご參照下さい。一部は高知県庁ホームページで一般公開しています(https://www.atpress.ne.jp/news/print/window/popup/pr_id/128733/)。また、本研究成果は16th Euro-Global summit on foods and beverages (Amsterdam Netherlands)でBest poster awardを受賞しました。現在は、硬度の低い調整海洋深層水飲料による飲用効果の検証を実施しています。

參考文獻:
(1)竹內啓晃、松村敬久 調製海洋深層水飲用による生體効果
  海洋深層水研究17:17-22. 2016
(2)竹內啓晃、大星航、清宮正徳、大澤進
  産官學民連攜で進める海洋深層水飲料と健康増進
  臨床化學 47:371-377. 2018 


赤潮原因藻に感染する巨大ウイルスの姿をあばく[2018]

 高知大學と水産研究?教育機構の共同チームは、貝類を特異的に殺す赤潮原因藻ヘテロカプサ?サーキュラリスカーマに感染する大型ウイルスHcDNAVの三次元像を観察することに成功しました。ウイルスに感染した宿主の細胞內では、各頂點にボンテン狀の構造體を持つ生二十面體ウイルス粒子が大量に殖えている様子が観察されました。こうしたウイルスの立體像観察は世界的にもきわめて珍しいものです。この結果は、有害赤潮の挙動に対してウイルス感染が與える影響を示す証拠の一つとして、國際科學誌 "Viruses"(MDPI社)に掲載されました。本研究の一部は、科研費新學術領域研究「ネオウイルス學-生命源流から超個體、そしてエコ?スフィアーへ(16H06429, 16K21723, 16H06437)」、農林省農林水産技術會議委託プロジェクト「有害プランクトンに対応した迅速診斷技術の開発」、ならびに當該プロジェクトの助成を受けて行われました。

有害赤潮藻ヘテロカプサ?サーキュラリスカーマ(A)に感染する巨大ウイルスHcDNAV(B, C)の細胞內での増殖の様子(D, E)

國際微生物生態學大會シンポジウムのRoundtableセッションの主催[2018]

 2018年8月13日に、ドイツ(ライプチヒ)で17th International Symposium on Microbial Ecology(ISME)のRoundtableセッションが開催されました。この大會は、微生物生態學の分野における第一大會であり、今回のシンポジウムに約2200人が參加しました。我々が主催した「Microbial chemical ecology:intra-and interspecies communication」のセッションにおいて、微生物間化學コミュニケーションおよび天然化合物の自然上の役割などについて、約200人の參加者と討論しました。

ISMEシンポジウムの歴史

Congress Center Leipzig開催地

I-2 海洋生物資源に関する基礎研究
4次元目のパラメータ攻略に挑む - 時間軸を遡る環境ウイルス學への挑戦 -[2017]

本プロジェクトでは、定點?定線(1次元)から海域面(2次元)へ、そして水深を考慮した海洋空間調査へ(3次元)。さらに、時間軸という視點から、過去-現在-未來(4次元)にかけての黒潮園の姿を解明することを目指しています。黒潮洗う高知県南岸に位置する「浦ノ內灣」は、複數種の赤潮原因種が年間を通して遷移する「赤潮研究のメッカ」として知られたフィールドです。ここで採取した底泥ロングコアを3cm毎に分畫し、各層から得られたRNA中に、同灣で1988年に初めて赤潮を形成した渦鞭毛藻(ヘテロカプサ?サーキュラリスカーマ)を攻撃するウイルスが 存在するかどうかを調べました。その結果、本種赤潮の初発生よりも數十年前から、この灣において両者が細々と繁茂していた可能性が明らかとなりました。この観測結果は、海底泥コアに刻まれた生物環境履歴を、各層の分子解析により辿ることが可能であることを示すものです。少なくとも、微生物分野については、4次元目のパラメータ(時間軸)を過去に向けて遡ることができそうな感觸が得られつつあります。

図1:貝類を特異的に殺す性質を持つ有害赤潮原因渦鞭毛藻ヘテロカプサ?サキュラリスカーマ(左:直徑18-30μm)と同種に感染するRNAウイルス(右)。1988年の浦ノ內灣での赤潮発生時に、世界で初めて本種が発見?同定された。當時は「新型赤潮」とも呼ばれ、一時的な現象であろうと予想する聲もあったが、その後、アサリ?カキ などのタネ貝の陸路輸送により、日本全國の貝類養殖場に飛び火的に拡散し、爆発的に分布域を拡げた。

寫真左:走査型電子顕微鏡像(撮影者:高野義人)
寫真右:透過電子顕微鏡像(撮影者:長崎慶三)

図2:浦ノ內灣で57cmの海底泥コアを採取 ?凍結後、3cm毎に切り分けて得た各 層(①~④)から RNA抽出およびウイルス特異的逆転寫PCR次世代シーケンス(⑤、⑥)を行った。(サンプリング協力:田中幸紀氏年代測定協力:新井和乃氏、村山雅史氏、RT-PCR協力:和田啓氏)。赤潮初発生より30年も前の1950年代層から同じウイルスRNA配列が検出された點が大いに注目された。

室戸調整海洋深層水引用による生體効果(腸內環境改善効果)の検証産官學民連攜プロジェクト[2017]

 これまでに調整海洋深層水飲料水(硬度1000)の飲用による様々な生體効果を報告してきました。そこで、その生體効果の醫科學的根拠?作用機序を解明する目的で腸內環境に著目し、産官學民連攜 プロジェクトとして室戸市民協力のもと臨床試験を実施しました。試験は1L/1日を12週間飲用し、その前後で各種項目(アンケート、便、尿による解析)を並列2群間(天然水群50名:ミネラルウォーター飲用と対象群50名:調整海洋深層水飲料水(硬度1000)飲用)で比較し評価しました。アンケート結果は対象群で有意に高い便秘癥改善効果が認められました。便の解析では、短鎖脂肪酸が量?人數ともに対象群で有意に増加し、総量では天然水群と23%もの差を認めました。さらに、尿中イソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、エクオール)も全て対象群で高く、各々天然水群よりも10 倍、14倍、 2.3倍も産生量が増加していました。すなわち、調整海洋深層水飲料水は腸內環境を改善し生體に有用な成分を産生充進することで様々な有益な生體効果を発揮していると考えられました。

研究成果が國際學術誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されました。[2017]

 海洋生物資源研究グループの津田正史教授と中央大學不破春彥教授の共同研究の成果が、國際學術誌「Angewandte Chemie International Edition」(IF 11.994)の電子版(2018年2月28日)に掲載されました。

 海洋性渦鞭毛藻より単離された抗腫瘍性マクロリド?イリオモテオリド-2aの全合成と完全構造の解明に関する研究成果で、海洋由來の有用物質の探索?開発研究に繋がるものと期待されます。

農林水産技術會議委託プロ研「有害プランクトンに対応した迅速診斷技術の開発」[2017]

有害赤潮の発生予察、終息予察、ならびに漁場適性評価技術の開発などを目標とした多機関連攜型のプロジェクト研究です。 高知大學は、本研究に個別課題リーダーとして參畫し、多くの成果を挙げつつあります。

新魚種養殖場の場所を選ぶ際に、微生物學的視點から漁場を評価し、その選択に合理的な根拠を與えるための 技術開発を進めています。

新學術領域研究「ネオウイルス學」:快調に進捗中![2017]

海洋中のウイルスの役割を解明すべく、昨年度より始まった本事業では、様々な赤潮に共存する、これまで知られていなかった新種ウイルス が次々と見つかってきています。本領域には、高知大學の他に、東大?京大?阪大?北大?岡大?佐賀大?電通大?水産機構など多種多様なチームが參畫しており、分野の壁を越えたメンバー間で熱いディスカッションが展開されています。

ネオウイルス學領域內水圏ウイルス班のロゴ

浦ノ內灣で赤潮を起こした 有害藻リングロディニウム

次世代シーケンサーと 共存ウイルス遺伝情報

日本 - チェコ間の合同ワークショップを主催[2016]

革新的な天然物探索技術を確立する日本とチェコ共和國の共同研究體制の構築を目的として「有用天然物の効率的探索に向けた革新的技術ワークショップ」を2016年11月にチェコ共和國プラハで開催しました。

ワークショップ參加者の集合寫真

海洋深層水利用學會賞受賞[2016]

 海洋深層水利用學會において,「脫塩海洋深層水の飲料水利用とその健康維持増進作用の評価および醫學応用」の題目で受賞しました。


「ウイルスの存在意義を論じてみませんか?」発表[2016]

 橫須賀市文化會館で開催された第68回日本生物工學會大會で開催されたシンポジウム「微生物の潛在能力に注目した有用二次代謝産物の『ものづくり』戦略」において「Application of advanced NMR techniques for analysis of actinobacterial metabolism」を発表しました。


「微生物の潛在能力に注目した有用二次代謝産物の『ものづくり』戦略」発表[2016]

 ANAクラウンプラザホテル富山で開催された日本微生物生態學會第32回大會において,「ウイルスの存在意義を論じてみませんか?」と題したシンポジウムのオーガナイザーを務めました。


高知県須崎市浦ノ內灣赤潮調査[2016]

 高知県水産試験場が実施した高知県須崎市浦ノ內灣の赤潮調査に同行しました。


新學術領域研究「ネオウイルス學(平成28年~平成32年)」がスタート![2016]

異分野の専門家を総動員し、様々な生態系におけるウイルスの役割を解明しようとする畫期的な課題です。高知大學は、主に海の中のウイルスにフォーカスを當て、彼らの存在意義の解明を目指します。

我々がに知っているウイルスは実はウイルス全體からみれば氷山の一角に過ぎない。地球上には無數の種類が存在しており、人類の科學が及んでいるのは、一部に過ぎない。

ネオウイルス學領域の中で水圏ウイルス研究を共に進める京都大學?JAMSTEC等のメンバーと、桂浜にて健闘を誓う。

I-2 海洋生物資源に関する基礎研究
黒潮圏における生物資源研究の最先端がここにある![2016]

 黒潮圏には、外洋?深海?內灣?珊瑚礁など様々な海洋生態系が存在し、それぞれの環境が多様な生物群集の棲息場になっています。我々のグループでは、主に微生物學的な視點から、同環境に存在する生物資源にフォーカスを當てた研究を展開しています。微生物は、水中だけではなく、海底堆積物中にも存在します。それぞれの生態系の中で予想もしなかった役割を擔っていたり、新規な有用化合物を生産する能力を示したり、微生物たちの一挙手一投足は熱い興味をかき立ててくれます。

 また、海洋深層水の健康?醫療への効果については高知大學?高知県ともに大いに注目しているところです。室戸海洋深層水飲料飲用による様々な生體効果に関する臨床試験データは、新産業創出のためにも大きな意味を持つと考えられます。

 興味は研究を生み、研究は成果を生み出し、成果はまた新たな研究へのモチベーションへと繋がる。その中から、人類の生活や健康に寄與する要素が見つかってくれば、新たな産官學の共同に繋がるものと期待されます。幾つかの研究事例を以下に紹介いたします。

1) 海底堆積物より分離された放線菌について遺伝子解析による種同定を実施中。今後、放線菌の二次代謝産物の解明およびその生合成遺伝子の探索を実施予定。有用物質発見の期待。
2) 渦鞭毛藻の一種が培養腫瘍細胞に対して殺細胞活性を持つ新規有用物質を産生することを発見。複數の新規物質について分子構造解析を実施中。一部は解析を完了。
3) 內灣底泥コアを層毎に分取し、それぞれのウイルス相を調べるためのプラットフォーム構築を完了。過去の時代毎の藻類感染性ウイルスの出現様態および生物環境の推定を目指す。
4) 海洋深層水飲料飲用による腸內環境改善の可能性を100名のボランティアを対象とした産官學民連攜での臨床試験により抽出。さらに詳細な解析を継続中。実用化の期待。

海水試料の採取

微細藻類の光學顕微鏡観察

赤潮感染性ウイルスの増殖過程

I-3黒潮の時空間変遷史の研究

I-3 黒潮の時空間変遷史の研究[2020]

人工微粒子による海洋汚染と生物への影響
海洋コア総合研究センター 氏家由利香

暴露実験時の有孔蟲の共焦點レーザー顕微鏑の畫像
緑色はストレス物質(活性酵素)を示す。スケールは50 μm
引用元:Ciacci et al. (2019) Scientific Reports. https://doi.org/10.1038/s41598-019-56037-2(氏家共著)

國際深海科學掘削計畫(IODP)Exp.379航海オンライン會議

 國際深海科學掘削計畫(IODP)Exp.379(アムンゼン海西南極氷床発達史)の航海後會議(當初2020年9月北歐での開催が予定されていたもの)は、コロナ禍の影響で延期となり、代替え措置としてオンライン會議が2020年6月25日に開催されました。11力國(米、獨、英、NZ、仏、印、日ほか)からの乗船研究者29名(時空変遷史グループの巖井雅夫教授を含む)とその學生15名ほかが參加。最大17時間の時差がある中3時間にわたり、航海後研究の進捗狀況や予察的結果について闊達な情報?意見交換が行われました。南極縁辺海の掘削では、過去に起きた地球溫暖化に伴う氷床崩壊と、海洋循環や生物物質循環へのインパクト理解が進むと期待されていますが、南極は深層水の形成や深層大循環の駆動に重要な役割を果たしており、マンガン鉱床の形成を左右する海中の酸化還元環境にも影響を與えると考えられます。

オンライン會議の様子

各タイムゾーン(計12)における會議開始時間

「間崎の枕狀溶巖」高知県の天然記念物に指定[2020]

 高知県西部の四萬十川河口近傍に露出する「間崎の枕狀溶巖」(四萬十市天然記念物)は、白色粗粒な斜長石斑晶(比重2.62-2.76)が濃集するという特異な巖相を有する玄武巖質枕狀溶巖で、近年の道路改良工事により新鮮な巨大露頭を道路脇で簡単に観察できるようになりました。斜長石斑晶と玄武巖質マグマ(比重2.65-2.8)は比重に差がないことから単純な 「マグマ重力分化結晶作用」では説明できず、これまで國內外を通じても報告例が確認されていませんでした。こうした稀少性や有用性が高知県文化財審議會において高く評価され(2021年1月25日)、高知県の天然記念物に指定されました(2月24日)。時間変遷史グループの巖井雅夫教授は審議會委員の一人として現地調査を実施、審議?指定に関わりました。

寫真1:「間崎の枕狀溶巖」の新露頭

寫真2:斜長石斑晶の濃集構造

ジオパークを活用した持続可能地域創成の試み[2020]

 「ジオパーク(大地の公園)」は、地域の地質や自然環境、そこで育まれた風土·文化など地域の資源とそのつながりについて理解し活用することで、持続可能な地域を創成していこうとする地域やその取り組みです。I-1班の村山雅史教授や1-3班の巖井雅夫教授は室戸ユネスコ世界ジオパーク推進協議會顧問として參畫、地域の天然物?文化財資産を生かした地域振興や地域人材育成に取り組んできました、巖井教授が運営指導委員會副委員長を努める室戸高校の「地域との協働による高等學校教育改革推進事業グローカル型」では、國內外ジオパークとの交流や課題探究をしてきた高校生がGlocal High School Meetings 2021 (2021年 全國高等學校グローカル探究オンライン発表會)」(主催:文部科學省指定グローカル型地域協働推進校探究成果発表委員會、共催:文部科學省、2021年1月30日オンライン開催)で成果を発表、日本語発表部門で銀賞を、英語発表部門では最上位の金賞?文部科學省初等中等教育局長賞を受賞しました。

グローカル探求発表會の様子

黒潮の円石藻の多様性を探る[2020]

 土佐灣の生物群集は、黒潮の影響を大きく受けています。土佐灣の円石藻の調査では、形態観察に基づいた群集調査に加えて、円石藻の培養実験を行いました。その過程で、Umbilicosphaera anulusという円石藻の培養株の確立に、世界で初めて成功しました。培養株が確立できたことにより、同種の系統學的な位置や分岐の歴史を、分子(遺伝子)情報と化石記録の両方に基づいて検証出來るようになりました。また、黒潮の円石藻の多様性への理解が進みました。

寫真:Umbilicosphaera anulusの培養株

淺海底生有孔蟲の酸素同位體平衡を検証[2020]

 土佐灣の表層堆積物から抽出した現生(ローズベンガル染色)の底生有孔蟲Hanzawaia nipponicaの酸素同位體比、および、海水の水溫、塩分、酸素同位體比等の分析データを再解析した結果、H. nipponicaの炭酸塩殻には周囲の海水から同位體平衡で酸素同位體比が記録されていることが明らかになりました。また、H. nipponicaの酸素同位體比と水溫の関係は、浮滯性有孔蟲の飼育実験から求められた関係式(Bemis et al., 1998)と一致することもわかりました。H. nipponicaは、黒潮や対馬暖流の影響が強い西南日本から東シナ海の大陸棚から大陸斜面上部に生息しており、鮮新世の淺海性堆積物からの化石の報告例も多い。今後、唐浜層群穴內層のボーリングコア等から産出するH.nipponicaの酸素同位體比データを用いた黒潮変動を復元する研究等への応用展開が期待されます。

寫真:土佐灣から産出した底生有孔蟲Hanzawaia nipponicaの電子顕微鏡寫真
(スケール:100μm)

掲載論文:Radiocarbon dating of precious corals off the southwest coast of Kochi prefecture, southwest Japan. Radiocarbon, DOI:10.1017 /RDC.2020.114(奧村知世)[2020]

內容紹介:寶石サンゴの年代測定に関する論文発表

 海洋コア総合研究センターの奧村知世特任助教と徳山英ーセンター長を含む研究グループは、高知県足摺岬沖から採集された化石寶石サンゴの生息年代を放射性炭素年代測定によって調べた研究成果をRadiocarbonに発表しました。この研究では、日本でもトップクラスの寶石サンゴの漁獲高を誇る足摺岬沖の漁場から採集された化石寶石サンゴ全54試料を調べた結果、もっとも古い試料では紀元前約5600年前に生息していたことがわかり、また、試料全體の85%は高知県で寶石サンゴの漁業活動が開始されたとされる1871年より古い時代に生息していたことが明らかになりました。この結果より、化石寶石サンゴの大半は漁業活動によって破壊されて死滅したものではなく、壽命や捕食、環境変動などといった自然要因で死滅し、海底に蓄積されてきたものであると推察されま す。本研究は、寶石サンゴを化石資源として適切に漁獲管理をする必要性を提起するとともに、高知沖での寶石サンゴの生息史を理解する重要なデータとなると期待できます。

紀元前約600年前に生息していた化石アカサンゴ

竜串海岸ビジターセンター“うみのわ”で企畫展および一般向け講演會の開催[2020]

 時空変遷史グループの長谷川精講師は、2020年3月に高知県土佐清水市にオープンした竜串ビジターセンター"うみのわ"で、「竜串海岸にある まんまる石のヒミツ」という題目の企畫展(10月30日~11月30日)と一般向け講演?野外講座(11月22日)を実施しました。竜串海岸の地層には茶褐色の丸い石(コンクリーションやノジュールと呼ばれています)が多數見られます。研究室學生(淺井沙紀さん)の卒業研究で、その成因を調べた結果、この丸い石は太古の生物遺骸が関係して形成されたことが明らかになりました。さらに火星の地層にも似た特徴の丸い石が見られることが分かり、その"ヒミツ"について地球科學の面白さも交えながら分かりやすく紹介しました。

一般向け講演會の様子

竜串海岸の地層を前にした集合寫真

黒潮の流路と沿岸水位[2020]

 約30年ぶりに改定された日本の土地の標高 「2000年度平均成果」に、地盤変動分の補正を施して、日本の沿岸水位の標高を初めて高い精度で決定しました。このデータセットにより、太平洋沿岸よりも東シナ海?日本海沿岸の水位が高いこと、黒潮が非大蛇行時に接岸する潮岬の東西で水位に段差があることなどが描き出されました。また、黒潮が潮岬から離岸する大蛇行時の沿岸水位の変動が明らかになりました。

図:日本の沿岸水位の標高(寄高?花輪,2020).

I-3 黒潮の時空間変遷史の研究[2019]

レガシーコア

 黒潮圏の持続可能社會構築にむけ,黒潮の短周期変動は沿岸漁業や潮流発電の効率評価に重要であり,地質時代に遡る 長周期変動は,鉱物資源やエネルギー資源の形成メカニズム解明や自然界の物質循環を考慮したリスクマネジメント?持続可能開発計畫策定に不可欠な要素です。コアセンターは黒潮圏の深海掘削試料を保管する世界唯一の施設です。しかし,黒潮の実像はわずか數萬年前の最終氷期でさえ解明途上にあり,さらに古く遡ろうとすると,試料の選別や年代モデルの再構築が必要不可欠でした。

 そこで,九州?パラオ海嶺で1973年に採取,コアセンターに保管されていたレガシーコアDSDP Site 296(図1)を再解析し,微化石?地球化學層序に基づいて年代モデルを再構築しました(Matsui et al., 2019, Newsletters on Stratigraphy;図2)。その結果,過去2000萬年間にわたって黒潮圏の海洋環境を連続して記録している貴重なコア試料であることがわかりました(プレスリリース:http://www.a2zonlinedirectory.com/information/2019091800022/)。Site 296の堆積速度は約800?700萬年前を境にそれ以前より速くなっています(図3)。

 同時期にSite 296は北西太平洋旋流內を北上し(図1),石灰質な生物源砕屑物の供給量が増加したようですが,その要因の詳細や資源形成へのインパクト等解明はこれからです。 海洋の鉱物?エネルギー資源形成を大きく左右する酸化還元環境や起源物質供給量は,海洋表層の黒潮のみならず,大気循環や海洋深層循環,生物生産やその分解消費も関わっています。

 コアセンター保管コアの年代見直しによるリノベーションを進めるとともに,モンゴルや南極といった遠隔地でも試料を探し求め,地球上における物質循環システムとその時間発展系の理解に努め,持続可能な地域社會構築に貢獻したいと考えています。

関連論文:Matsui, H., et al., 2019. Integrated Neogene biochemostratigraphy at DSDP Site 296 on the Kyushu?Palau Ridge in the western North Pacific. :Newsletters on Stratigraphy, DOI:10.1127/nos/2019/0549

図1:掘削地點位置図と,Site 296が過去2000萬年間にたどった軌跡(Matsui et al., 2019)。
白丸の間隔は100萬年ごと

図2:再構築された年代モデル(Matsui et al., 2019をもとに作成;松井浩紀博士提供)

図3:再構築された年代モデルに基づき算出された堆積速度(cm/千年)の時代変遷(Supplementary figure S2 of Matsui et al., 2019)

白亜紀末期生物大量絶滅時の大規模酸性雨の証拠発見[2019]

 約6600萬年前の白亜紀-古第三紀(K-Pg)境界における恐竜を含む生物の大量絶滅は,巨大隕石の衝突が引き金であることは広く受け入れられています。しかし,隕石衝突後に起きた環境の激変(太陽光遮斷,溫暖化,酸性雨など)のうち,どれが生物に致命的な打撃を與えたのかはこれまで不明でした。大型放射光施設SPring-8の放射光を用いた微量元素マッピングを用い,K-Pg境界層に,銀?銅に富む微粒子が含まれていることを世界で初めて明らかにしました。これらの微粒子の存在は,隕石衝突の直後に大規模な酸性雨が降ったことを意味します。本研究成果は,2020年2月に「Geological Society of America Bulletin」で公開されました。

大型放射光施設SPring-8の放射光を用いてのK-Pg境界試料の微量元素マッピングの様子

モンゴル北部で湖底堆積物のボーリングコア掘削[2019]

 時空変遷史グループの長谷川精講師の研究グループが,2019年3月にモンゴル北部のサンギンダライ湖において,ボーリングコア掘削を行いました。本研究は,過去5萬年間の偏西風の蛇行と永久凍土の融解史の復元を目的としており,採取した湖底堆積物コア試料は海洋コア総合研究センターに輸送され,元素組成分析や花粉分析を実施しました。その結果,過去の溫暖化イベントを反映したアジア內陸域の気候変動や植生帯の変遷が明らかになりました。

モンゴル北部サンギンダライ湖で2019年3月に行ったボーリングコア掘削調査(マイナス20℃で凍結した湖上で実施)

黒潮の円石藻から地球溫暖化を探る[2019]

 産業革命以來,人為的に放出された溫室効果ガスによって,地球の平均気溫は上昇傾向にあります。それに伴い,海洋の溫暖化も1970年代後半から顕著になってきました。そのため,1960~1970年代前半に黒潮の海水から作成された,海水ろ過フィルター試料を用いて,溫暖化が顕著になる以前の黒潮の円石藻群集の復元を行っています。得られた結果を,現在の円石藻群集と比較する事によって,過去50年間の溫暖化が黒潮の円石藻の植物相にどのような影響を與えたのかを知ることができます。

土佐灣の初冬の微細藻群集

I-3 黒潮の時空間変遷史の研究[2018]

酸素極小帯の形成と変遷

 酸素極小帯(OMZ)は、コバルトに富むマンガンクラストが形成されるなど化學組成に大きな影響をおよぼす(Usui et al., 2017, Ore Geology Reviews)とともに、主成分マンガンの貯留庫としても注目されています(Halbachモデル)。 

 IODP Exp.355航海で掘削が実施されたアラビア海には、東太平洋とならぶ世界最大級のOMZが存在します。國際共同研究により、OMZで繰り広げられる脫窒開始は300萬年前頃であり、現在のような狀況が成立したのは約100萬年前以降であること(Tripathi et al., 2017, Scientific Report)、さらに脫窒は間氷期により活発であり、アラビア海西部では氷期の一部で脫窒/OMZがせん滅していたこと(Kim et al., 2018, Scientific Report)、などがわかってきました。新生代の寒冷化にともなった海洋成層化や酸素極小帯の形成史は、海底鉱物資源形成環境を考える上で注目されます。

 一方黒潮流域直下に位置する土佐ばえ海盆では、系統的コア試料群のXRFコアスキャナー分析結果から、古南海地震で形成されたと考えられるタービダイトの直上で、Mn濃度が上昇傾向にあることがわかりました。巨大地震時に発生した混濁流が酸素極小帯下部に位置する海盆內に酸素を供給したのかもしれません。急潮や黒潮大蛇行など表層海流の変動に加え、地殻変動の影響や生物圏の進化にも著目し、黒潮システムの時空間変遷を調べて行きたいと取り組んでいます。

図1:四國沖南北斷面における溶存酸素分布

図2:拓洋第5海山におけるマンガンクラスト化學組成の深度変化
(Usui et al., 2017, Ore Geology Reviews)

図3:窒素同位體分析の結果

図4:氷期-間氷期におけるアラビア海の酸素極小帯盛衰概念図
(Kim et al., 2018, Scientific Reportを一部改変)

研究成果が國際學術誌「Science Advances」に掲載[2018]

 時空変遷史グループの長谷川精講師と名古屋大學グループの共同研究の成果が、國際學術誌「Science Advances」(IF 11.511)電子版(2018年12月6日)に掲載されました。

  地球や火星の風成砂丘の地層中に見られる球狀鉄コンクリーション(寫真上)の成因に関する研究成果で、火星の表層環境史の謎の解明に繋がりました。

  最近の調査で、土佐清水市竜串海岸に露出する古黒潮が関わって形成された地層にも鉄コンクリーションが見られることがわかり(寫真下)、古黒潮が竜串海岸の鉄コンクリーションの形成にどのように関わっていたかの解明を現在進めています。

米國ユタ州の風成層中に見られる鉄コンクリーション

竜串海岸の古黒潮が 形成した地層の鉄コンクリーション

日中大學フェア&フォーラム2018 in CHINA[2018]

 第13回日本大學フェア&フォーラムin CHINA2018(平成30年5月12-15日,中國広東省広州市,主催:科學技術振興機構?中國國家外國専家局)に,本プロジェクト関係者2名が本家副學長に同行參加し,「日本大學フェア」「日本技術展」に出展しました。「日本技術展」では海洋コア総合研究センターの共同利用設備?器機群が紹介されました。大會の様子は,科學技術振興機構(JST)が運営するScience Portal Chinaでも紹介されました(http://www.spc.jst.go.jp/event/univff_reports/ff.html)。

受付の賑わい

日本大學技術展出展會場高知大學ブース

【航海報告】調査船「よこすか」航海YK18-05[2018]

 海洋調査船「よこすか」によるYK18-2航海(2018年4月29日JAMSTEC橫須賀岸壁出港-5月3日宮崎港入港)が実施され(主席研究員:淺田美穂,次席研究員:巖井雅夫),四國沖?日向灘の南海トラフで海底泥火山ならびに海底変動地形の音響探査が行われた。海底泥火山はメタンハイドレートや巨大地震発生域との関連で注目されている。調査日程わずか3日で,低気圧の影響を受けながらも高精細な海底地形?音響特性が明らかにされた。

「よこすか」船內ラボにおける航海研究打合せ風景

KY18-02航海における音響探査の様子

SeaJapan 2018 學生イベント參加[2018]

 國內最大の國際海事展「Sea Japan 2018」が東京ビックサイトで開催され(http://www.seajapan.ne.jp),一般社団法人日本舶用工業會によって企畫(http://www.jsmea.or.jp/jp/news/news_201804/SJP2018houoku.pdf)された學生イベントに,高知大學から8名が招待され參加しました。2018年4月12-13日の二日間に,セミナーや展示ブースのツアー,調査船「よこすか」ならびに「しんかい6500」の見學などが行われました。參加した院生?學部生は皆目を輝かせ,他大學から參加した學生やOBとの交流も楽しんでいました。

SeaJapan2018の公式ガイドブック

セミナー會場.海事産業の現狀と將來展望に関する講演を聞き入った.

調査船「よこすか」の前で記念撮影

國際共同研究の開始~白鳳丸KH-16-6次航海~[2017]

 國際深海科學掘削計畫(IODP)の第355節航海(Exp. 355、2015年3月-5月)の航海後會議が,インド?ゴアにある國立インド南極海洋研究所(NCAOR)で開催され(2017年7月248-278)、乗船研究者の人として本プロジェクト分擔者が參加しました。航海後1年2ヶ月の間に進展した成果を持ち寄られ(口頭発表15件、ポスタ ー発表10件)、闊達な議論がなされました。一部発表はインターネットを介したものとなりましたが、スムーズにすすめられました。

 會議後半には、 1)年代モデル、 2) 古海洋研究、 3) 大陸環境変遷、 4) 堆積物起源、 5) 化學風化、 6)モンスーン、の各課題に関係する取り組み狀況が整理され、共同研究體制の構築が議論されました。酸素同位體層序は、韓國のB.-K. Kim博士と指導學生が高知大學海洋コア総合研究センターで分析?共同研究しているものです。

 本航海で採取された掘削試料は、既に海洋コア総合研究センターに全て運ばれ保管されています。インド洋の大気海洋循環は、黒潮の熱源となる西太平洋暖水塊の形成? 変動史やアジアモンスーンに連動しており,レガシーコアとともに黒潮の時空間変遷史研究に活用されることが期待されています。

航海成果公表済論文;
Tripathi, S., et al., 2017. First evidence of denitrification vis-a-vis monsoon in the Arabian Sea since Late Miocene.
Scientific Reports, 7, 43056; doi: 10.1038/srep43056

アラビアモンスーンを肌で感じる會議參加者

首席研究者D.Pandey博士のオープニング講演

デカン高原巡検風景

第七開洋丸傭船航海~愛知沖南海トラフ地形?地質調査~[2017]

 愛知沖南海トラフ陸側斜面を調査海域とする第七開洋丸傭船航 海が実施され(2017年9月58蒲郡港出港、88高知港入港、首席研究者:杉戸信彥、法政大學)、共同研究者として本プロジェクトI-3 班より1名(巖井)が乗船、地形地質探査を行ないました。「変動地形」、「古地震」を主たる目的とした航海でしたが、採取されたコア試料には、黒潮大蛇行頻発域の沿岸水の様相が記録されていると期待され、年代測定等の分析準備が進められています。

 第七開洋丸は元東京海洋大學海鷹丸を改造した民間海洋調査船(海洋エンジニアリング株式會社所有)で海洋資源探査や海底変動地 形探査などで広く活用されています。Aフレームクレーンとウインチに老朽化由來の不具合が多少ありましたが、作業甲板は広く、甲板と実験室?居室?ウインチ室?操舵室等へのアクセスも良い構造になっています。スリープウェイをもつことから、張力計等小道具を整備したうえでウインチ等が本來の性能を取り戻せば、オペレーション次第で長尺ピストンコアリングも可能と思われました。

早朝からのピストンコアラ―採泥作業~

第七開洋丸
海洋エンジニアリング(株) 保有 (649トン)

室戸岬直近の高岡漁港で水位観測始めました[2017]

 室戸岬を挾んで西側の土佐灣沿岸の水位と、東側の紀伊水道外域沿岸の水位が異なることがあります。土佐灣側の水位が高いときは、黒潮が室戸岬に接近しているようです。

 沿岸域での突発的な強い流れを「急潮」と呼びます。全國各地で起こる急潮は定置網に破網やロープの破斷などの被害を及ぼしてきました。定置網が流出するほどの強い急潮は相模灣や日本海の一部など、限られた場所でしか見られませんでしたが、室戸岬近くで2013年、2015年と急潮による定置網の流出が発生しました。その後の高知県水産試験場による流速観測データを解析したところ、室戸岬近 くで急潮が発生する時には紀伊水道外域側の水位が高くなることがわかってきました。

 そこで、室戸岬の東の高岡漁港に水位計を設置し、2017年8月から水位観測を開始しました。これまでは紀伊水道外域側の水位に、小松島や阿波由岐での観測 データを用いてきましたが、高岡漁港での水位観測により、室戸岬の西の室戸岬漁港の水位(気象庁)とあわせて、純度の高い水位差観測が可能となり、黒潮の接近や急潮発生メカニズムの解明に近づけると考えています。

水位計

室戸岬周辺函

第七開洋丸傭船航海~愛知沖南海トラフ地形?地質調査~[2017]

 北西太平洋および東シナ海から採取した海洋コア群と深海掘削コアを活用して、気候変動のキーとなる時代(完新世、最終氷期、最終間氷期、鮮新世溫暖期など)における黒潮変動の実態を復元し、北太平洋における気候変動や中深層水循環変遷史との関連を解き明かす研究を國內外 の研究者と連攜して進めています。

國際共同研究の開始~白鳳丸KH-16-6次航海~[2016]

 2016年11月に、北西太平洋(黒潮流域、九州-パラオ海嶺および伊豆小笠原海域)において白鳳丸KH-16- 6次航海(主席研究員:池原実)を実施しました。深海底から海洋コアを採取し、約2萬年前の最終氷期最寒期以降の気候が大きく変化した時代に、黒潮流路がどのように変化してきたのか、また、黒潮大蛇行がどの時代に卓越していたのかなどを復元し、日本および東アジアの気候変動との関連を解明するための國際共同研究を開始しました。採取した海洋コアは、高知大學海洋コア総合研究センタ ーにて冷蔵保管し、X線CTスキャナなどによる非破壊計測を行うとともに、より専門的な古環境変動研究を展開しています。

多層式開閉ネット(VMPS)によるプランクトンの採集。堆積物に化石として殘る放散蟲や浮遊性有孔蟲の水深別の存在量と種構成を明らかにします

自航式深海底サンプル採取システム (NSS: 東京大學大気海洋研究所)を用いた海洋コアの採取

「海洋底科學の基礎」出版[2016]

海底掘削科學に関する最新の技術?科學手法をまとめた「海洋科學の基礎」(日本地質學會「海洋底科學の基礎」編集委員會 編、共立出版)が、2016年9月に出版されました。(9非破壊計測、10個別計測の一部を執筆分擔)

統合國際深海掘削計畫(IODP)で、地球深部探査船「ちきゅう」とともに運用されているジョイデス?レゾリューション(JOIDES Resolution)號

新聞報道 (朝日新聞)[2016]

 約2億1500萬年前(三畳紀後期)の巨大隕石の衝突によって、海洋生物の大規模な絶滅が起きた証拠を示した「Scientific Reports」への掲載について報道されました。


I-3 黒潮の時空間変遷史の研究
黒潮圏の現在?過去?未來をコアから探る![2016]

 過去も未來も萬年単位以上で考えることが、今を生きる上で、またこれからの資源を考える上で必要不可欠と、2011年に発生した東日本大震災と原子力発電所の事故を機會に、実感?課題提示されるようになってきました。仙臺平野の奧部を含む広い範囲で津波堆積物が発見されていたにも関わらず、原子力の安全対策に生かされず、結果として數萬年以上にわたる管理が必要とされる放射性廃棄物を大量に発生させてしまいました。この現実を重く受け止め対峙するためには、數萬年~數十萬年、場合によっては數百萬~數千萬年と時間を遡り、持続可能な資源開発?利用?安全管理について考えることが必要不可欠です。

 地球の自然史を數萬年以上にさかのぼるには、地層を読み解く必要があります。地層を円柱狀にくり抜いたものは“コア”と呼ばれ,地球の歴史を記録した“古文書”のような存在ですが、上手にページをめくれば、過去にどんな出來事が起きたか教えてくれ、未來を生きるヒントを與えてくれると期待されます。 高知コアセンター/高知大學海洋コア総合研究センターには、黒潮圏を包括する西太平洋及びインド洋で掘削されたコア試料が全て保管されており、その記録を読み解く努力が繰り広げられています。地域の自然特性?資源 を理解?有効活用し、持続可能な資源開発?地域活性社會創生が、3.11以降の資源學には求められています。黒潮圏をフィールドにしたケ ーススタデイとして、高知の地の利を生かした研究を進めたいと思います。

世界三大コア保管施設の管理対象海域

現在(2016年8月)の海洋循環

中新世 (A:中期、 B:後期)の海洋循環(Li et al., 2006)
?Warm current
?Cold current

II総合的海洋資源管理の體系化

大學院設置による海洋人材教育體制の充実[2020]

 今年度新たにスタートした農林海洋科學専攻(修士課程)には、海洋資源科學コースが設けられ、18名の學生が修士(海洋科學)の修得を目指して學びを開始しました。海洋資源科學コースでは、「持続可能な水産生物資源の生産と活用」、「海底資源學序論」、「海洋生命科學序論」の3科目が必修科目となり、海洋資源に様々な角度から取り組む研究の最先端に觸れることができます。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策の影響で、対面での國際交流による2020年度の人材育成活動はすべて中止となりました。また、2019年度より検討を進め、2020年9月3日、4日にフィリピンビコール大學において、ビコール大學および高知大學の両學長や理事の招へいにより開催を予定していたフィリピン人修了生による同窓會の設立記念式典も開催が見送られました。しかし、オンラインを通じた同窓會の活動推進の議論(右寫真)を皮切りに修了生や本學教員によるセミナーの企畫や発表、國際學會での発表などの國際交流活動は活発に行われました。

 また、修士課程の學生の學年進行に合わせた2022年度開始の博士課程について、黒潮圏総合科學専攻內に海洋資源科學コースと総合科學コースを設置することが正式に決定し、カリキュラムの検討などが開始されました。

赤池慎吾コーディネーターと參加者

國立臺灣海洋大學の産學民連攜による人材育成の取り組み紹介

オンラインによる同窓會打ち合わせ

II 総合的海洋管理の體系化,III 海洋人材育成および地域産業創出[2019]

 「4次元統合黒潮圏資源學の創成」プロジェクトおける第II班の「総合的海洋資源管理の體系化」では,本學農林海洋科學部海洋資源科學科で必修となっている「総合的海洋管理 (ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management) 」教育プログラムを中心に,4次元統合黒潮圏資源學プロジェクト等で得られた最先端の研究成果を,學生への講義內容に隨時含め,將來的に,このような考え方を持った學生を育成することが目標となっていました。

 一方,第III班では,「海洋人材育成および地域産業創出」がテーマとなっており,大學院の博士課程黒潮圏総合科學専攻において,同じく総合的海洋管理のコンセプトを持った人材育成を,特に東南アジアの留學生を中心に行ってきました。すなわち,Ⅱ班では學部教育(學士課程),Ⅲ班では大學院教育(博士課程)という“すみ分け”でした。しかしながら,2018年度に実施された本プロジェクトの中間成果報告會で,外部委員の先生方から,人材育成という意味では學部から大學院まで一貫して行うべきであり,體系化についてはもう少し工夫すべきであるというご指摘を受けました。

 このため,2019年度にⅡ班とⅢ班のあり方について再検討を行い,人材育成については,留學生だけでなく日本人の學部學生を含めた形で,Ⅲ班で実施し,Ⅱ班はプロジェクト等で得られた最先端の研究成果をもう少し有機的に結合することで総合的海洋管理の體系化の體制構築を検討し,その成果を,學生を含めた一般社會へ啓蒙していく方向に特化することになりました。これは大変重い課題ですが,何とかその目標に向かって進んでいきたいと思います。

 2016年度に入學し,ICOM教育プログラムを修めた海洋資源科學科の第1期生59名が卒業を迎えました(寫真1)。また,2014年度から博士課程を受け入れている「國費留學生優先配置プログラム」の第3期生2名が熱帯性魚類や等腳類の生態學的研究により2019年9月に學位を取得しました(寫真2)。同12月には,後継プログラム「黒潮圏の持続的地域社會を牽引する「環人共生」リーダー育成プログラム」が文部科學省に採択され,2020~2022年度にかけて毎年3名のフィリピン人留學生を受け入れることになりました。

 黒潮流域の臺灣?フィリピンを中心とした若手研究者のネットワーク作りと育成のため,2019年度もJSTのさくらサイエンスプランプログラムにより10名の若手研究者を迎え,本學の海洋コア総合研究センターや海洋生物研究教育施設等の海洋研究施設,森林総合研究所,さらに地域資源の利用を実地で學ぶため養鰻場やかまぼこ工場,ナノファイバー開発に取り組む製紙工場での視察體験プログラムを準備しました。さらに黒潮圏総合科學専攻の學生も加えて「沿岸資源利用と観光」をテーマにセミナーを実施し,國境や専門分野の枠を超えて討論會を行いました。一方,將來的な私費大學院留學生の増加を目指し,フィリピン?パルティド州立大學の學部生2名に対する短期交換留學プログラム(受入)を4週間にわたり実施しました。

 このような國際交流活動を通して,海外の研究者や學生と高知大學の連攜は一層活発になりました。フィリピンでは,修了生有志により2020年度の同窓會の設立が計畫され,準備委員會が発足しました。同窓會にはフィリピンと高知大學との國際交流の受け皿,さらには日本との懸け橋となることを期待しています。

 また,交流を深めていたフィリピン?カタンドゥアネス州立大學と大學間協定を締結しました。

寫真1:海洋資源科學科第1期生の卒論発表會

寫真2:「國費留學生優先配置プログラム」の第3期生

寫真3:參加者による集合寫真

海洋資源科學科第1期生の卒業[2019]

「総合的海洋管理(ICOM:Integrated Coastal and Ocean Management)」教育プログラムを修めた第1期生が2020年3月23日に卒業しました。

ICOM修了証

II 総合的海洋管理の體系化[2018]

「洋上観測実習」で土佐灣洋上にでる  「4次元統合黒潮圏資源學の創成」プロジェクトでは、様々な海洋資源の中でも特に、これまで必ずしも十分には開発?利用されてこなかった海底鉱物資源や海水中および堆積物中の微生物資源等が研究対象の中心となっています。また、持続可能で平和的かつ積極的な海洋(資源)の開発?利用だけでなく、人為的インパクトを最小限に抑えた海洋環境の保全との調和を図りながら維持管理し、將來の資源動態を予測するといったことも大きな目標となっています。

 高知大學農林海洋科學部の海洋資源科學科では、「総合的海洋管理 (ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management) 」教育プログラムを必修としています。ここでは、水産生物も含めた黒潮圏資源の自然科學的研究成果に社會科學的考察を加え、海洋資源を総合的に知り、利用しながら、それを維持管理する「総合的海洋管理」の視點を體系的に學びます。4次元統合黒潮圏資源學プロジェクト等で得られた最先端の研究成果を、ICOM科目を中心に、學生への講義內容に隨時含めることで、現在、世界ではどのようなことが行われているのか、何が明らかになっているのか等について教育を実施しています。また座學以外にも実験?実習科目が數多く配置されており、海洋資源の有効利用と持続的管理の知識?技術と意識を持ち、様々な分野で活躍できる人材を育成しています。このように、體系化された海洋資源に関する教育を実施し、総合的海洋資源管理の視點を持った學生を、我が國だけでなく世界に排出することは、我が國の大きな使命であり、本學もそれに応えられるように努力しているところです。

 海洋資源科學科の3コースのうち新設された海底資源環境學コースと海洋生命科學コースの學生を対象にした「洋上観測実習」が、今年度(平成30年度)初めて、2年生?3年生の合同実習の形で実施されました。本実習は、船で土佐灣中央部の外海へでて、様々な観測を行うとともに、浦ノ內灣でも同様の観測を行い、內灣と外洋の違いを実感するとともに、科學的データの面からもその違いを確認することが主な目的となっています。本學には大型の練習船がないので、長崎大學から、今年の3月末に進水したばかりの最新鋭の練習船「長崎丸(1131トン)」に高知まで來てもらい、実習を行いました。

 2コース?2學年合わせて56名の學生全員が、船で1泊したあと、翌日には土佐灣に出て、真っ青な本來の海の色を體験するとともに、様々な最新鋭の観測機器に觸れながら、無事に実習を終えました。

 高知港で上下船した班は、浦戸灣入口にかかる浦戸大橋を下から見上げるという、なかなか味わえない體験もしました。卒業後は、必ずしも船に乗る機會はないかも知れない學生達ですが、たとえ短期間であったとしても、彼らにとっては貴重な體験、経験になったことでしょう。

長崎丸の舷側からゼッキ板を沈めて透明度を測定する學生達

長崎丸甲板で上がってきたCTDから海水試料を採取する學生達

浦戸大橋を下から見上げる。通過する車が小さく見える。

鉱物資源や地震発生に関わる地殻深部流體の研究[2018]

 高知大學海底資源環境學コースの1期生が研究室に配屬され、卒業研究がスタートしました。黒潮の海は、若くて暖かいフィリピン海プレートが沈み込み、その際に生じるスラブ脫水の、斷層などを通じた陸上湧出が示唆されています。これら地殻深部流體は、海洋プレートや地震?火山メカニズムを理解するための重要な役割を擔っています。この地球內部物質循環の理解への第一歩として、學生自らフィールドを調査し、採取した湧水試料の同位體?微量元素分析を行っています。このように、黒潮圏の特異な海底環境やその周囲の恵まれた自然環境、そして高知コアセンターの最先端の研究環境を十分に活用することによって、學部生の早い段階から広い視野で地球科學を學んでいます。様々な分野や視點から海洋研究に攜わる教員?研究者から日々刺激を受けながら、楽しく有意義な卒業研究を行っています。 (海底資源環境學コース?3年生?村木美波)

卒業研究として中央構造線の湧水を採取している様子

海底鉱物資源の研究航海に乗船[2018]

 海洋コア総合研究センターの臼井朗特任教授、浦本豪一郎特任助教らが參加した國立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究船「よこすか」による福島県沖の磐城海山の海底鉱物資源の研究航海に農林海洋科學部海洋資源科學科海底資源環境學コースの1期生が初めて參加しました。航海中は、潛水調査船「しんかい6500」の潛航記録を取る作業や、深海から採取されたマンガンクラストやコア試料の処理など、他大學の教員や研究者と協力して船上作業に従事し、無事に航海を終えました。

採取したマンガンクラストを切斷し、斷面を寫真撮影している様子

II 総合的海洋管理の體系化[2017]

 昨年度、改組により発足した農林海洋科學部の海洋資源科學科では、平成29年度には第1期生約65名が2年生に進級し、いよいよ総合的海洋管理(ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management) 教育プログラムを本格的に學び始めました。

 ICOMプログラムでは卒業に必要な専門科目84単位のうち、必修6科目と選択必修6科目の合計12科目24単位を履修することが求められています。全部で22の授業科目で構成されており、2017年度末までに14科目が開講されました。

 海洋資源科學科では、ICOM科目を中心に、4次元統合黒潮圏資源學プロジェクトで得られた最先端の研究成果を、學生への講義內容に隨時含めることで、現在、世界ではどのようなことが行われているのか、何が明らかになっているのか等を彼らに伝えたいと考えています。また座學以外にも実験?実習科目が數多 配置されており、海洋資源の有効利用と持続的管理の知識?技術と意識を持ち、様々な分野で活躍できる人材育成を実施しています。

 このように本學では、內閣のもとに策定された海洋基本計畫で謳われている「海洋産業の振興と創出に関わる人材の育成」を目指しており、體系化された総合的海洋管理教育が特色の一つとなっています。

黒潮続流海域の海洋資源調査を行うカナダの研究船John P Tully。このような航海では、さまざまな分野の研究者が乗り込んで総合的な研究が実施される。

II 総合的海洋管理の體系化[2016]

 本學では、平成28年度に従來の農學部が改組され、農林海洋科學部が発足しました。そのなかの海洋資源科學科では、海洋の生物?海水?海底鉱物の各資源と環境を総合的?多面的にとらえ、さらにそれらの維持管理を行うために必要な基礎的知識を有する人材育成を行うことを目指しています。カリキュラムの中には、四國5國立大學が連攜して実施する総合的海洋管理(ICOM : Integrated Coastal and Ocean Management)教育プログラムが必修化されています。 折しも、海洋立國日本を確固たるものにするために平成19年に制定された海洋基本法に基づいた海洋基本計畫が平成25年4月に改定され、その中には、重點的な取組みとして、「海洋産業の振典と創出に関わる人材の育成」と「海洋教育に関わる人材の育成」が謳われています。

 ICOMプログラムでは、生物?物理化學?地學?水産學等の自然科學のみならず政策論や経済學等の社會科學科目が配置されており、學士課程(學部)の學生が文理統合的な視點から海洋管理について學べる學科は、全國で唯一のものとなっています。

ICOM教育プログラムの概要
(詳細は"http://www.a2zonlinedirectory.com/agrimar-icom/index.html"參照)

III総合的海洋管理人材の育成

2019年度黒潮圏総合科學専攻博士課程秋學期學位公開審査會[2019]

 2020年1月29日に,課程博士および論文博士を合わせた7名の學位取得予定者による公開審査會が44名の參加者により開催されました。四萬十川,有明海や大阪灣等の沿岸域に生息する水棲生物の生態に加え,外洋のウミアメンボ,エビ養殖環境改善手法等,様々な対象やアプローチの研究に加え,茶葉の品質に及ぼす土壌の影響や対人援助職従事者の生活リズムを対象とした発表等に対して,活発な議論が繰り広げられました。

寫真:會場の様子

フィリピン?カガヤン州ツゲガラオにおける第13回黒潮圏科學國際シンポジウム[2019]

 2019年11月18~22日,フィリピン?カガヤン州立大學で第13回黒潮圏科學國際シンポジウム “Climate Change Adaptation and Mitigation towards Sustainable Fisheries Resources Along Kuroshio Region”が,フィリピン農業省漁業?水産資源局第2地域支所と共同開催されました(このシンポは2007年から高知大,臺灣?フィリピンの協定校でローテーション開催)。

 協定校のフィリピン大,ビコール大,パルティド州大はじめ,フィリピンの大學?機関を中心に136名がシンポに參加しました。高知大からは教員4名,大學院生6名が參加,諸岡名譽教授が基調講演,久保田教授,卒業生の坂口穂子氏が総會講演を行った他,教員2名,大學院生6名が個別報告を行いました。

(1) Fisheries Biology and Oceanography,(2) Fishery Resource Management,(3) Fisheries Socio-Economic, Seafood Safety and Processing Technology,(4) Ecological Habitats and Climate Sciencesの4つのセッションで,個別研究報告と活発な討論が行われました。

黒潮圏総合科學専攻新保輝幸教授によるフィリピン?臺灣との高知大學の國際連攜の沿革紹介

2019年度「さくらサイエンスプラン」によるフィリピンおよび臺灣からの若手研究者受け入れ[2019]

 科學技術振興機構(JST)「さくらサイエンスプラン」の支援のもと,2019年9月29日から10月5日までの7日間,フィリピンならびに臺灣の大學?研究機関から11名(大學院生10名と教員1名)を招聘し,『黒潮圏流域?沿岸域における持続可能な開発を擔う學術人材ネットワークの構築と連攜強化』をテーマとしたプログラムを実施しました。高知県の自然環境を活かしたフィールド見學や,先端科學技術の導入されている研究室や企業訪問,「持続可能な沿岸資源の利用と観光」をテーマとしたCross border educationセミナー,文化體験などを実施し學術交流を図りました。

海藻の微細構造観察

集合寫真

2019年度春學期學位授與式[2019]

 2019年9月20日に,國費留學生優先配置プログラムで來日していた2名のフィリピン人博士課程留學生が修了式を迎えました。學位研究として実施された気候変動下での熱帯性魚類の生息場所選好性や甲殻類に寄生する等腳類の宿主特異性などの海洋生物の生態に関する知識や経験が,今後の共同研究活動や沿岸域の環境保全活動等の発展へ活かされることが期待されます。

2名のフィリピン人修了生

フィリピンラゴノイ灣沿岸に生息するウナギ資源に関するフォーラムの共同開催[2019]

 フィリピンルソン島東南部に位置するビコール地方沖は,絶滅危懼種として知られるニホンウナギのシラスウナギの通過経路と考えられていますが,この流域河川に生息するウナギの種についてはほとんどデータがありません。ビコール大學との共同研究で進めている形態観察や分子分類研究の成果発表會(Aquatic Forum for “The Eel Fishery in Tributaries along Lagonoy Gulf: Implication to Management and Conservation”)を共同開催しました。

発表の様子

フォーラムの參加者

フィリピンカタンドアネス州立大學との學術交流協定締結[2019]

 北赤道海流が北向きに方向を変えて黒潮となる海域に最も近い,フィリピンビコール地方の東部に位置するカタンドアネス島で唯一の総合大學であるカタンドアネス州立大學との大學間交流協定を締結しました。2019年6月3日にMinerva I. Morales學長をはじめとする役員や學部長等の出席の下で開催された協定書の署名式典に出席しました。

調印式後の寫真撮影

III 海洋人材育成および地域産業創出[2018]

 2014年度から博士課程を受け入れている「國費留學生優先配置プログラム」の第2期生が2018年9月に修了しました。また、同10月にはフィリピンビコール大學、パルティド州立大學およびカタンドアネス州立大學の若手教員が第5期生として入學し、新たに學位研究をスタートさせました。

 黒潮流域の臺灣?フィリピンを中心とした若手研究者のネットワーク作りと育成のため、2018年度もJSTのさくらサイエンスプランプログラムにより8名の若手研究者を迎え、海洋コア総合研究センター、海洋生物研究教育施設等の海洋研究施設に加え、陸域の重要性にも目を向けてもらうため森林総合研究所を含めて視察プログラムを準備しました。また、帰國後の參加者ネットワークの継続を狙い、初めての試みとして臺灣およびフィリピンからそれぞれ引率者も招聘し、セミナーでの講演を依頼しました。

 將來的な私費大學院留學生の増加を目指し、2名の學部生に対する短期交換留學プログラム(受入)を実施しました。4週間にわたり海洋生物由來の食品學?分子細胞生物學的実験の知識や技術、環境経済學的解析などの講義や実習を受講して帰國しました。帰國後はプログラムへの參加報告會の実施を提案し、高知大學への留學機運を高める取り組みを行ないました。

 また、修了生の研究環境をサポートするため、フィリピンバタンガス州立大學の海洋研究施設に著任した修了生へ、日本の民間財団が実施する研究助成事業への研究費申請に対する助言や推薦を行ない、採択されました。

パルティド州立大學における短期交換留學プログラム報告會

“KU-CSU 2019 Symposium on International Collaboration for Education and Research”[2018]

 黒潮源流域のフィリピンビコール地方カタンドアネス州立大學において、2019年2月21日(木)に、“KU-CSU 2019 Symposium on International Collaboration for Education and Research”が開催されました。當大學からは、2014年度から3名のさくらサイエンスプランプログラムによる若手研究者を受け入れています。また、2018年10月からは、博士課程の學生として、若手教員が黒潮圏総合科學専攻で學んでいます。今後の教育?研究の交流を活発化するため、國際交流協定の締結に関する議論が行われました。

カタンドアネス州立大學Minerva I. Morales學長

シンポジウムに參加した役職員や國際連攜部門スタッフ

平成30年度「さくらサイエンスプラン」による若手研究者受け入れ[2018]

 科學技術振興機構(JST)「さくらサイエンスプラン」の支援のもと、2019年1月20日~27日の8日間、フィリピンならびに臺灣の大學?研究機関から10名(大學院生8名と教員2名)を招聘し、『黒潮圏流域の「沿岸域の海洋管理」を擔う學術人材ネットワークの連攜強化と拡大』をテーマとしたプログラムを実施しました。分野橫斷的なコンセプトに力點をおいた本プログラムでは、黒潮圏流域?沿岸域から陸域まで幅広いフィールドにかかる先端科學技術の見學?體験を実施し、學術交流を図りました。

“Training of Marine Fish Larvae Taxonomy”の共同開催[2018]

 フィリピンの若手研究者への稚魚の形態分類に関する知識や技術の普及を目的として、2019年1月10日(木)~14日(月)に、本學の協定校であるフィリピン大學ビサヤ校において、 “Training of Marine Fish Larvae Taxonomy”が開催されました。本學からは、海洋生物研究教育施設の木下泉教授に加え、黒潮圏総合科學専攻の修了生が招聘されるとともに複數の在學生も運営スタッフ等として參加しました。

フィリピン大學ビサヤ校Wilfledo Campos教授

參加者および運営スタッフ

國立中山大學(臺灣?高雄)における第12回黒潮圏科學國際シンポジウム
(Joint symposium of the 12th Kuroshio Sciences and South China Sea marine stations)[2018]

 第12回黒潮圏科學國際シンポジウム(2007年度より高知大學と臺灣、フィリピンの協定大學のローテーションで実施)は、2018年11月18日~21日の期間、臺灣高雄市の國立中山大學において、東シナ海臨海実験所會議とジョイントで開催され、黒潮圏諸國 (日臺比の他、 インドネシア、マレーシア、ベトナム、シンガポール等)の大學?研究機関から約70名の研究者?學生が參加しました。高知大學からは教員1名、大學院生4名が參加、研究発表を行った他、我が國からは九州大學スタッフ2名やグアム大學の日本人研究者らが參加しました。シャコ貝の保全、海藻の生物學、海洋生物學一般の3本の大きなセッションの他、學生の研究発表のセッションが立てられました。

 また東シナ海に面する14ヶ所の臨海実験所の研究者らが自らの施設を紹介、その連攜について討議しました。最終日午後はエクスカーションとして市內の高雄展覧館での國際漁業展見學や灣內クルージングが行われました。

シンポジウム參加者

灣內クルージング終了後の集合寫真

國費留學生優先配置プログラム第2期修了生輩出[2018]

 平成30年度、黒潮圏総合科學専攻では5名の修了生を輩出しました。そのうち4名は國費留學生優先配置プログラム「黒潮圏の持続型社會形成を目指す人材育成プログラム」の第2期修了生です。國費留學生のフィリピン人2名、私費留學生のベトナム1名と中國人1名が、フィリピン、ベトナム、中國、沖縄、高知を舞臺に、藻類やマングローブ林魚種の種多様性、沿岸魚類の稚魚初期生活史に関する研究を精力的に展開し、7月25日の公開審査會でそれぞれの成果を発表しました。9月20日の修了式では、ベトナム人留學生が修了生を代表して謝辭を述べました。3年間の留學生活で學んだ日本語を駆使して、時には詰まりながら、本學と指導教員への感謝の気持ちを懸命に読み上げる姿に櫻井學長をはじめ參加者全員が微笑ましく耳を傾けていました。

III 海洋人材育成および地域産業創出[2017]

 10年を超えるフィリピンおよび臺灣を中心とした東南アジアおよび東アジア諸國との連攜體制に基づき、沿岸域の総合管理に関する人材育成活動を続けています。2017年7月に第11回黒潮圏科學國際シンポジウムを開催し、30名を超える海外からの參加者を迎え、今後のネットワークの充実に向けて活発な議論が行なわれました。また、それに先立ち平成26年度に國費留學生優先配置プログラムで受け入れた第1期生の學位公開審在 會を実施し、參加者より多くの助言が得られました。さらに、JSTのさくらサイエンスプランを利用し、フィリピンから6名の、臺灣から4名の若手研究者を招待し、公開審査會やシンポジウムヘの出席、高知大學の研究機器施設の見學に加え、第3回クロスボーダーエデュケーション企畫へ參加し、マイクロプラスチックによる海洋汚染をテーマに討議し、理解を深めました。

 また,2017年12月にはフィリピンビコール地方南カマリネス州のパルティド州立大學と交流協定を締結しました。同大學のラウル?ブラデシナ學長は本學で學位を取得し,その後はビコール地方ラゴノイ灣周辺の海洋保護區を中心としたフィールドでの環境経済學で共同研究を続けてきました。今後は、博士および修士課程の學生の受け入れや學部生の交換留學により、連攜関係を深化させていく予定です。

 一方、2018年2月に実施された博士課程の中間発表會では、「地下海水を活用した海藻陸上生産の実証研究」と題して、研究活動の傍ら複數のベンチャーを起業した學生の活動が紹介されました。高知大學での研究成果に基づき、ビジネスがより一層発展することを期待しています。

クロスボーダーエデュケーション

博士課程の中間発表

フィリピンバタンガス州立大學海洋研究拠點の設置と本學修了生の運営責任者就任[2017]

 フィリピンの首都マニラから80kmあまり南に位置 するバタンガス州立大學では、海洋研究拠點 "Verde Island Passage Center for Oceanographic Research and Aquatic Life Sciences (VIP CORALs)" を2018年當初に設置し、國費留學生優先配置プログラムの第 1期修了生の一人、 Jayvee Saco博士が運営責任者へ就任しました。2018年3月8日に久保田賢教授が訪問し、今後の高知大學との連攜について打ち合わせを行いました。

連攜に関する打ち合わせの様子

Jayvee Saco氏によるVIP-CORALsの紹介

フィリピンパルティド州立大學との大學間交流協定締結および記念セレモニーの開催[2017]

 フィリピンビコル地方南カマリネス州のゴアを中心に7キャンパスを展開しているパルティド州立大學と2017年12月18日に大學間交流協定を締結し ました。同大學のRaul Bradecina學長は、日本學術振興會のRONPAKU制度により高知大學で學位を取得されており、ビコール地方ラゴノイ灣に設定されている複數の海洋保護區を対象とした共同研究を長年 実施しています。

 交流協定締結を記念して、2018年2月16日に記念セレモニーを開催するとともに、今後の共同研究の展開について講演を行ないました。

Raul Bradecinaパルティド州立大學學長と新保輝幸黒潮圏科學部門長の握手の様子

共同研究展開の提案に関する講演

ビコール大學バイオテクノロジー推進會議企畫?発表[2017]

 高知大學の協定校であるフィリピンビコール大學では、 2017年に複數のキャンパスで予算を獲得し、 遺伝子実験用の機器が導入され始めました。フィリ ピン大學や日本の大學で遺伝子実験を経験した教員だけでなく、その他のスタッフや大學院生が新たに 実験を計畫して研究を進められるよう、ビコール大學研究コーディネーターのAlex Camaya博士(高知大學で博士の學位取得)と協働して、講演および講習を企畫し、ハンズオンセミナーを実施しました。

バイオテクノロジ推進會議におけるバイオ実験セミナー

導入機器や実験器具による食品工學科 學生への実験デモンストレーション

"ASEAN International Symposium on Research and Scientific Publishing"による招待講演[2017]

 2017年9月にフィリピンビコル地方のカタンドアネス州立大學でASEAN International Symposium on Research and Scientific Publishingが開催されました。このシンポジウムは同大學ならびにビコール地方の大學に所屬する生物多様性や資源管理に攜わる若手研究者の研究能力向上を目的にしており、 ASEANの研究者に加え、本學から2名の教員が招待され基調講演および論文執筆指導等を行いました。

開催セレモニーでのテープカットの様子

シンポジウム講演者の集合寫真

第11回黒潮圏科學國際シンポジウムと國費留學生優先配置プログラム第1期修了生輩出[2017]

 黒潮圏総合科學専攻では、2017年7月23日から27日に第11回黒潮圏科學國際シンポジウムおよび學位論文公開審査會、JSTのさくらサイエンスプランによる青少年招聘事業を同時開催しました。公開審査會では、國費留學生優先配置プログラム「黒潮圏の持続型社會形成を目指す人材育成プログラム」の第1期修了生となるフィリピン人留學生3名が藻類の光合成や海洋資源保全?管理に関して発表しました。主要なシンポジウム參加者に國費留學生の研究內容に関するアンケートを実施したところ、研究テーマやプログラムによる人材育成の面で高い評価を得ました。一方、留學生には優先配置プログラムに関して聞き取り調査を行い、プログラムの教育內容について高い評価を得ました。さくらサイエンス プランではフィリピンから6名と臺灣から4名の若手研究者を招聘し、専攻學生とともにシンポジウムでの発表の機會を提供するとともにクロスボーダーエデュケーション企畫として沿岸域のプラスチック汚染問題をテーマに討論することを通して分野橫斷型教育? 研究の重要性への理解を促す プログラムを実施しました。

シンポジウムおよびさくらサイエンスプランヘの參加者

シンポジウムのオープニングセレモニーの様子(朝倉キャンパスメディアホール)

「さくらサイエンスプラン」によるフィリピン 臺灣からの參加者および黒潮圏総合科學

科學探査船タラ號が土佐灣でサンゴ調査を実施[2017]

 フランスの科學探査船タラ號が、太平洋全域でのサンゴ礁生物多様性調査の一環として土佐灣で調査を行いました。 2017年4月1日に高知港で行われた船內見學會には、高知大學農林海洋學部および黒潮圏総合科學専攻の教職員? 學生ら150名が參加しました。高知大學は研究パー トナーとしてタラ號の日本での調査に協力しました。

タラ號の見學會実施地

橫浪におけるサンゴ等の調査の様子

高知港に寄港したタラ號の船內見學會の様子

第2回「クロスボーダー?エデュケーション」を開催[2016]

國境を越えた沿岸管理人材育成を目指したフィールドワークとグループ討議を主體としたプログラムです。2016年11月にフィリピンのビコール地方において、フィリピン、臺灣、中國、ベトナムの若手研究者や大學院生の參加により実施されました。

海洋保護區(MPA)が設置されているサンミゲル島でのフィールドワークの様子

MPAの管理に関わる現地組織関係者を交えたグループ討議の様子

日本生態學會中國四國地區會優秀賞受賞[2016]

 日本生態學會中國四國地區會において,黒潮圏総合科學専攻博士課程の邊見由美さんが,「共生性ハゼ類ヒモハゼ及びチクゼンハゼによる 宿主特異性:野外調査と室內実験による検証」の題目で優秀賞を受賞しました。


III 海洋人材育成および地域産業創出[2016]

 本學では、國立大學法人化した2004年に、全國初の文理融合型獨立大學院博士課程として、「黒潮圏海洋科學研究科」を設置し、平成27年度までに34名の課程博士と9名の論文博士を輩出してきました。黒潮流域のフィリピンや臺灣をはじめとする東南アジア地域を主な対象フィ ールドとして交流協定を締結するとともに共同研究室を現地に設置し、多くの外國人留學生に対して學位を授與してきました(11の國や地域計17名)。

 このような國際的な教育活動を足掛かりにして、平成26年度からは文部科學省の國費外國人留學生の優先配置を行う特別プログラムに採択され、「黒潮圏の持続型社會形成を目指す人材育成プログラム」により、フィリピンから毎年3名の留學生を受け入れるとともに、臺灣、日本や周辺國の大學院生の參加による「國境を超えた教育?研究の推進(クロスボーダー?エデュケーション)」にも取り組んでいます。

 本グループでは、文理融合型の博士課程である黒潮圏総合科學専攻を中心として、海洋および陸域の雙方の実情を理解し、沿岸域の総合的管理に貢獻できる國際人材の育成を目指しています。

黒潮圏諸國をフィ ールドにして 山から海のつながりや沿岸社會による環境保全などを題材にした人材育成を行なっています。

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